「サブプライム」という、得体の知れぬ「怪物」に世界が脅えている。日本でも巨額の損失計上に陥る金融機関が現れ、「海の向こうの問題」ではなくなった。年初には政治家も金融関係者もこの存在を軽視し、これほどの危機に陥ると予見する人は一握りに過ぎなかった。10年ぶりに対峙する「金融危機」を、われわれは乗り切れるだろうか──。
シティグループが買収されるかもしれない!
そんなうわさが11月初めにウォールストリート(WS)を駆け巡った後で、「いや、シティはWSの“国連”だ」と擁護論が巻き返した。同19日には、米ゴールドマン・サックスが投資家向けリポートで、シティが保有するCDO(債務担保証券)などの証券化商品の損失額が150億ドル(発表ベース110億ドル)に膨らむと予想。投資判断を「中立」から「売り」に引き下げた。
シティ側も、それは下げすぎと反論したが、19日のマーケットはバッドニュースに反応、ニューヨークダウ株価は218ドル安と1万3000ドルを割り込んだ。WSはサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題発のクレジットスクィーズ(信用収縮)のアク抜けを渇望しており、そのためのスケープゴート(生け贄)を探している。
そもそも、今回のクレジットバブル(信用拡張)を招いた発火点は、「1997年のアジア通貨危機にある」(竹森俊平慶應義塾大学教授、→関連記事へ)という。IMF(国際通貨基金)の緊急融資で危機を乗り切った東アジア諸国がドルペッグ(連動)から離れ、経常黒字を拡大させることで外貨準備高(ドル資産)を積み上げていった。外貨準備は自国での投資先難から米国債投資に向かう。中国、中東など資源国も同様の投資経路をたどり、米国に投資マネーが集中した。
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