有料会員限定

「サブプライム」危機と真相 市場はなぜ脅えるのか!

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17
拡大
縮小

「サブプライム」という、得体の知れぬ「怪物」に世界が脅えている。日本でも巨額の損失計上に陥る金融機関が現れ、「海の向こうの問題」ではなくなった。年初には政治家も金融関係者もこの存在を軽視し、これほどの危機に陥ると予見する人は一握りに過ぎなかった。10年ぶりに対峙する「金融危機」を、われわれは乗り切れるだろうか──。

(本誌:鈴木雅幸、福田 淳、松崎泰弘、日暮良一、石川正樹、武政秀明
経済ジャーナリスト:重道武司)

特集「「サブプライム」危機と真相」の他の記事を読む

シティグループが買収されるかもしれない!

そんなうわさが11月初めにウォールストリート(WS)を駆け巡った後で、「いや、シティはWSの“国連”だ」と擁護論が巻き返した。同19日には、米ゴールドマン・サックスが投資家向けリポートで、シティが保有するCDO(債務担保証券)などの証券化商品の損失額が150億ドル(発表ベース110億ドル)に膨らむと予想。投資判断を「中立」から「売り」に引き下げた。

シティ側も、それは下げすぎと反論したが、19日のマーケットはバッドニュースに反応、ニューヨークダウ株価は218ドル安と1万3000ドルを割り込んだ。WSはサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題発のクレジットスクィーズ(信用収縮)のアク抜けを渇望しており、そのためのスケープゴート(生け贄)を探している。

そもそも、今回のクレジットバブル(信用拡張)を招いた発火点は、「1997年のアジア通貨危機にある」(竹森俊平慶應義塾大学教授、→関連記事へ)という。IMF(国際通貨基金)の緊急融資で危機を乗り切った東アジア諸国がドルペッグ(連動)から離れ、経常黒字を拡大させることで外貨準備高(ドル資産)を積み上げていった。外貨準備は自国での投資先難から米国債投資に向かう。中国、中東など資源国も同様の投資経路をたどり、米国に投資マネーが集中した。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
「サブプライム」危機と真相
[Special Interview 2]アラン・グリーンスパン FRB前議長
徹底分析!不動産バブル3【日本の変調】
徹底分析!不動産バブル2【欧州の予兆】
徹底分析!不動産バブル1【米国の崩落】
徹底予測!マーケット収縮【為替&金利 2 】
[COLUMN]「米国資本主義の顔」はサブプライム問題の最大犠牲者?
徹底予測!マーケット収縮【株式〈欧州〉】
徹底予測!マーケット収縮〈中国・インド・ベトナム・タイ株〉
徹底予測!マーケット収縮〈日本株〉
徹底予測!マーケット収縮〈米国株〉
[SPECIAL INTERVIEW]ジョセフ・E・スティグリッツ
[Special Topics 2]
徹底追究!サブプライム危機3【どこまで広がるのか?】
徹底追究!サブプライム危機2【誰が悪いのか?】
[Special Topics 1]10年ごとに大爆発!
徹底追究!サブプライム危機1【問題の核心は何か?】
市場はなぜ脅えるのか!
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内