世界のマーケットに蔓延し続けるサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題。人類がこれまで何度か乗り越えてきた「危機」と今回が異質なのは、この問題がどこまで広がれば終局を迎えるのかが、まったく見えない点だ。
これまで積極的にリスクマネーを供給してきた投資家たちも、新たな「危機」を前になすすべもなく立ち尽くし、リスク回避のアンワインド(巻き戻し)を続けるばかりだ。世界は今、サブプライム問題という亡霊を一日も早く追い払うことだけに躍起になっているが、今こそ必要なのは根源的な問題の核心を分析し、未来に備える教訓を学ぶことだ。
そこで、「情報の非対称性を伴った市場の分析」でノーベル経済学賞を受賞した、コロンビア大学のジョセフ・E・スティグリッツ教授に、サブプライム問題の正体の解剖をお願いした。人類はこの危機を克服することができるのだろうか。
──今、世界を震撼させているサブプライム問題。これはなぜ起きたのでしょうか。
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