「再エネ」最大限導入へ、問われる国の本気度 九電ショックでわかったソーラーバブルの真実

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九州電力が開催した接続保留の説明会

九州電力など一部電力会社による「再生可能エネルギー」発電設備の系統接続”保留”問題が注目されている。これを解決し、再エネの持続的拡大を図っていくために必要な政策とは何か。

二酸化炭素(CO2)排出量の削減、エネルギーの自給と安全保障に貢献する、再生可能エネルギーの普及拡大は、日本にとって大きな重要性を持つことは明らかだ。太陽光バブルのあだ花で終わらせてしまっては元も子もない。

それに、2012年7月に固定価格買取制度(FIT)が開始されてから、まだたった2年半だ。日本の発電電力量に占める再エネの割合は、13年度で10.7%。水力を除けば、2.2%しかない。再エネ比率が40%(水力除き26%)のスペインや、24%(同21%)のドイツなど、欧米諸国に大きく後れをとっている。

今回の接続保留問題については、経済産業省の総合資源エネルギー調査会・新エネルギー小委員会や、その下に設置された系統ワーキンググループ(WG)でも、審議されている。重要なのは、再エネを最大限導入する方向性は堅持しつつ、FITの制度運用で浮かび上がった新たな課題に対して適切に対処していくことだ。

根本問題は”3つの偏り”

今回の接続問題の原因は、”3つの偏り”にある。つまり、買取価格が下げられる直前の「3月」に、導入が比較的容易で、買取価格の割高な「太陽光発電(非住宅)」の設備認定と接続申請が集中。しかも、土地代が安く日照量の多い九州など「一部地域」に偏り、各電力会社管内における申請分の昼間の出力が、需要量を一気に超過する事態になった。

FITの法律で規定された当初3年間の優遇期間とはいえ、「太陽光がここまで急拡大するとは想定外だった」と経産省の幹部は漏らす。専門家からは「経産省の制度設計はお粗末」「対応が遅すぎる」といった批判は多い。FITによる再エネ拡大が新局面に入った今、制度運用の改善は避けて通れない。

改善策の一つは、買取価格の改定期間を現行の年1回から短縮化することだ。ドイツは毎月改定している。これによって、期末集中が回避でき、太陽光パネルなどの急速なコスト低下が機動的に買取価格に反映される。事業者の過剰な利潤と、電気利用者(企業や個人)の過剰な賦課金(電気料金に上乗せされる再エネの買取費用)負担も防げる。

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