NEC系情報システム会社がIBM製サーバーを取り扱う理由とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

4月22日付け日本経済新聞朝刊1面トップに刺激的な見出しが踊り、業界の話題を呼んでいる。「情報システム国内大手、IBMサーバーを調達」「まずNEC系。系列超え構築」というものだ。

記事ではNECの子会社であるNECトータルインテグレーションサービス(NTIS)が日本IBMと販売提携を結び、IBM製のハードをメインフレーム(大型汎用機)からパソコンサーバまで取り扱っていくというもの。NTISでは今後3年で50億円、全受注件数の約3割をIBM商品になるという。

ここまでは4月22日にNTISも正式発表しており、紛れもない事実。が、問題はNTISがIBMと提携した背景説明だ。日経では、NEC、日立製作所、富士通などの国内システム会社はハード事業の採算が悪化しており、「今後はIBM製品の取り扱いが増える見通し」と解説。NEC系に限らず、「富士通系のシステム会社とも交渉中」とまで書いている。これについて、富士通では即座に否定のリリースを出した。

実は、今回の提携の本質はずっと単純だ。NTISはもともとNECと東芝の合弁で設立された「NEC東芝情報システム」。主に独自仕様の汎用機(非IBM互換機)である「ACOS」の販売とサポートを担当してきた。紆余曲折を経て、4月1日には東芝の保有株式をNECソフトが買い取り、完全なNECグループとして新スタートを切ったばかりだった。

NEC「ACOS」を利用する顧客企業の間では、IBM機もしくはIBM互換機(富士通、日立)への乗り換えが進行しており、NTISが生き残るためには、この顧客離れに歯止めを掛けることが、極めて重要だった。そこで、NTISの西川喜勝社長がNECの金杉明信社長を説得し、実現したのが今回のIBMとの提携だ。「ACOS」を抱えてきたNECだからこそ、ありえた提携であり、この提携が富士通・日立に広がる可能性は、それほど高くない。

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

山田 俊浩 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで編集局次長週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2025年3月から東洋経済総編集長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事