「野党の選挙協力=勝利」という幻想 「野党一本化」は、プラス面ばかりではない
それにしても、野党の「選挙協力こそがすべて」といった進め方には、正直違和感がある。
選挙協力の「足し算」には、死票という「引き算」がある
マスコミの報道に、野党が踊らされているのではない。直前までの野党の対応そのものが、まさに選挙協力の上での野党共闘ありきという動きだった。本来、政党とは、他党とは違う独自の政策の実現を目指すものだと思うが、ならば選挙のための協力は野合という批判になる。だが、一強多弱の中で、選択肢がない政治が続くのであれば、受け皿づくりの苦肉の策を「大目に見る」しかない。
わかり易い数字で説明をさせていただく。2年前の衆院選で共産以外の野党の得票を足すと、113の選挙区で自民党候補の得票を上回る試算がある。机上の計算であることは百も承知だが、野党各党の反省は、今回の候補者数に如実に表れている。
前回の選挙区立候補者が1291人に対し、今回が959人ということを考えると、いかに調整が行われたかを証明している。
特に民主党は、前回の264人に対し今回の擁立は178人に抑え、多くの選挙区を他野党の候補者に譲り、共倒れの無駄を避け、野党共闘での当選総数増に方向転換を図った。これは、民主党が単独過半数を最初から諦めた候補者数だが、民主党という看板に候補者も集まりにくく、それも候補者調整に奏功したようだ。野党の思惑通りに事が運ぶとは思わないが、野党候補者が与党候補者を逆転する選挙区が出てくることは考えられる。
ところが、これによる弊害も現出するだろう。調整で降ろされた候補者や党の支持者の思いだ。果たして、野党共闘の思惑に賛同してくれるかだ。与党を利することに賛同して支持以外の野党候補に投票して頂ける支持者もあろうが、納得できない支持者の方が多いのではないかと訝る。
この場合、行き場がなく、棄権が増えるのではと考えられる。つまり選挙協力という足し算には、死票という引き算が生じるということだ。
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