プロ格闘家でも逃れられない「学歴」の壁 静岡県警を2カ月で辞めた早大卒の青木真也が語る

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常見 有名企業と有名大学を捨てた、昔の脱サラのような「一匹狼」のマインドを持っているのが青木さんと僕との共通点です。

青木さんの場合は早稲田大学出身で、静岡県警へ内定という「親孝行そのもの」のキャリアを捨てたのですよね。

青木 あの時、親は悲しみました。だからこそ大学の同期に負けたくない活躍をしたいと僕はいつも思っています。

ビジネスパーソンも「引退」と向き合う時がくる

蔭山 アスリートのセカンドキャリアで問題になってくるのが、「仕事があっても受け入れられない」ケースです。

例えば野球を実業団でプレーしていた30歳の方が、転職を希望するとして、私たちが「これまでどんな仕事をしてきて、どんなビジネススキルがあるか」を尋ねると、梱包などの軽作業の経験しかないことがあります。これではやはり良い条件の転職は厳しく、「軽作業の業務で、あまり高いとは言えない年収の仕事」を提示しても、「受け入れない・受け入れられない」元アスリートが多いです。

青木 実業団所属でも、スポーツが出来なくなり、社員として同じ給料で雇うと言われても、「働くことを受け入れられない人」が多いと聞きます。

常見 なぜ受け入れられないのでしょうか?

青木 スポーツ選手は、現役中はずっと「右肩上がり」です。しかしセカンドキャリアはそうはいかないことが問題なのではないでしょうか。「引退後の人生をどう受け入れていくか」というのは、すべてのアスリートが向かい合わないことです。

常見 「右肩上がりでない状態を受け入れる」という課題は、アスリートだけではなく、東洋経済オンライン読者のビジネパーソンも必ず直面します。

僕は今40歳です。大学や会社の同期と会うと、年収のことは大体分かるけど、口には出せないですね。同じ大学同期でも年収ベースでみて、ざっくり300万~2000万円くらいの「振れ幅」があります。そして40歳の今がまさに分岐点というか、もう最初の決着がついている頃で、「右肩上がり」を継続できる人は、これから部長、役員に出世していきます。

一方、そうでなくて、「先が見えてしまっている」人は、他の会社に転職したり、関連会社へ出向になって残ったりと、様々な「生存戦略」をとりはじめます。

蔭山 それはまさにアスリートのキャリアと同じ構造です。

常見 そうですよね。今日の話のテーマである「引退」というのは二つのとらえ方があると思います。完全にやめた状態はもちろん文字通り「引退」である一方で、 第一線にいられなくなり右肩上がりではない状態も、ある種の「引退」だと思います。

青木 納得です。その二つの意味を持つ「引退」へどのように舵をきるかは、まさに「自分の幸せ」に直結する問題だと思います。

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