苦境の「車内ワゴン販売」に未来はあるか こだまでは廃止、在来線特急もサービス縮小

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

山陽新幹線などの車内販売では、「逸品厳選」と銘打った企画を展開している。これまで車内販売で扱う商品と見なしていなかったものを、その範疇に加える試みで、お菓子など、いわゆるお土産品の域を超えた、沿線の名産品をワゴンにて販売しようというものだ。

広島の熊野筆や『魯山人』醤油など、高級品続々

これまでには国産デニム発祥の地である岡山県倉敷市のジーンズメーカーが製作したウエストバッグ(2500円)や、広島県熊野町の熊野筆チークブラシ(3200円)などを販売した実績がある。

ジェイアール西日本フードサービスネットの「逸品厳選」で取り扱われた、広島県熊野町の名産「熊野筆」のチークブラシセット

特に、熊野町の筆は全国的にも名高いもので、「品質の良さもあって、チークブラシは延べ5000本以上の売り上げを記録しました」(同社広報)とのこと。

高くても1000円前後までであった、これまでの車内販売での扱い品とは違い、これらは単価が高いこともあって、相当の収益をもたらしたであろう。

他にも9月14日から行われた「和歌山デスティネーションキャンペーン」に合わせて、和歌山県湯浅町の高級醤油「『魯山人』醤油」(1520円)を車内で販売するなど、各地の名産の発掘に努めている。  

さらにジェイアール西日本フードサービスネットでは、山陽新幹線「のぞみ」「ひかり」「みずほ」「さくら」の普通車指定席、グリーン車の利用客を対象に、乗車5日前までに座席番号を伝えて予約することで、新神戸・姫路・岡山・広島・博多の名物駅弁を席まで配達するというサービスも実施。同社大阪列車営業支店にて電話(0120-834-895)で受け付けている。

途中停車駅の駅弁を購入することは、停車時間の短さもあってほぼ不可能であることを逆手に取ったビジネスで、旅の楽しみが増すとともに、「食べたい時に食べたいものを食べられる」サービスとしても評価したい。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事