ブラジル経済は10年7.8%、11年4.8%成長を予想、財政緊縮による景気の減速が新政権の課題--ゴールドマン・サックス シニア・エコノミスト/中南米経済担当共同ヘッド アルベルト・ラモス氏
来年のインフレ率は5~5.5%が見込まれ、インフレ目標の中央値である4.5%を上回っていることから、中央銀行が来年さらに利上げに踏み切る可能性がある。そうすると資本流入が加速してしまう。だからこそ、利上げではなく、財政緊縮化という方法論をとる必要がある。これが実現できるかが最大の焦点といえる。
(注)2010、11年はゴールドマン・サックスの予想
--IOF税の見通しは。
予想は難しい。昨年10月に海外投資家による債券と株式の取引に対して2%課税され、今年10月4日に債券取引への税率が4%に引き上げられたと思ったら、その2週間後には6%になった。マンテガ財務相は、これが効かなければさらなる対策を打つと言っており、実際にその可能性はあるだろう。
しかし、資本流入抑制策はIOF税引き上げだけとは限らない。銀行システムの過剰なレバレッジに対する規制といったマクロ・プルーデンスの政策など、他の手段もありうる。そうした対策の不透明感が、結果的に資本流入を抑制している部分もある。
--サッカーW杯や五輪も控えたブラジル経済の長期的な展望についてはどうか。
当局がうまく経済運営をしていけば、非常に建設的であり、有望といえる。ブラジル経済は、かつては膨張と破裂を繰り返す不安定な経済で、投資も縮小してきた。しかし、過去4年で経済・金融面でのマクロ的な安定感は大きく増した。公的債務は減少し、外貨準備は積み上がり、財政政策も改善。経済の構造改革によって脆弱性は低下した。