伊東孝紳・ホンダ社長--国内生産100万台は円高が続いても維持する

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──ホンダのエコカー戦略に独自性が見えないとの指摘もあります。

今の商売からすればHV、しかも低価格HVが戦略の中心であることは間違いない。ただ業界を見渡しても、エコカーの技術はまだ一つの方向に収斂していない。そのような中で次世代車の“旗”を掲げることに、あまり興味はないですね。

新興国向けの戦略車は16万円でできるはず

--11月末にタイ・バンコクのモーターショーで新興国戦略車が発表されます。同じ車をベースにしてインドでも販売、同車は50万ルピー(約90万円)を切るとされています。

50万ルピーは切れる。だが、まだ高い。序の口の「序」にも行っていない。まだまだ甘い。

うちは2輪をやっているでしょう。インドでは110CCのバイクを7万~8万円で販売し、結構利益が上がっている。「2輪が8万円なら、4輪は16万円でできる」と開発陣に言い続けているんですよ。

インドでは毎年、2輪で500万人以上のお客様に満足いただいている。彼らはバイクを買うことで行動範囲が広がり、就職先が広がるという。いわば、生活の糧。それが次に4輪となったとき、オーディオや冷房付きをとは言わない。家族が乗れて、雨風がしのげればいいというニーズは絶対にある。それを何でホンダがやらないのか。

2輪でもそこまで行くのに25年かかっており、実際に時間はかかると思う。部品の調達先については、まず現地のサプライヤーから考える。

--ホンダのドル箱は長らく北米でした。その構造は変わりますか

最近では他の地域が伸び、自然と収益構造に変化が起きている。北米の一本足がホンダの弱点といわれてきたが、今後はアジアや中国などが成長し、大きな柱が三~四つある体制になるだろう。

いとう・たかのぶ
1953年生まれ。78年本田技研工業入社、車体設計を中心に4輪車の研究・開発に従事。鈴鹿製作所長、四輪事業本部長など経て、2009年6月社長就任。

(聞き手:大滝俊一(週刊東洋経済編集長)、並木厚憲、松浦 大 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2010年11月27日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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