自民に"危機ばね"、候補者選びで相次ぐ異変 野党の議席大幅増は本当か、都市伝説か

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表向きは、「当党政拡大を図るため、小選挙区は、若い人に任せたい」との意向だが、実際は2年間の活動が乏しく、支部長剥奪という有様だ。聞けば約10か所の選挙区で、同様のケースでの公認調整が検討されているという。

当たり前といえば当たり前。いまさらという気もするが、自民党自体が、自助努力を始めたということだ。

中選挙区制度から小選挙区制度に変更され、政党政治がより色濃くなり、「党にとって都合のいい人」を、比例上位で優遇することへの不満が噴出していた。

地元が支持する候補者選びが始まった

「各選挙区で予備選を経て、より良い候補者選定に努める」といいながら、世襲など、党の息の掛かった都合のいい候補者選びの実態に、地元は辟易していた。

だが、自民から民主、民主から自民とオセロゲームのような政権交代が起こる事態に、自民党の党勢拡大に貢献する、日ごろから熱心に活動する候補者選びが行われているようだ。

選挙の気まぐれな風に吹き飛ばされず、地に根付いた活動をしている候補選びが、ようやく行われ始めたということだろう。

そもそも議員は、ひとかどの人間がやるものだと思うが、小選挙区制導入後、多党化したために、各党とも候補者探しが困難ななか、比例区の票の堀起こしのためにも空白区を埋めなければならず、少々でたらめな人物でも立てないわけにはいかない事情がある。

今回の選挙も、まだまだ候補者不足の政党だらけだ。だが、この国のリーダー選びで、「国の将来を託せる人物」という最低限のレベルを基準にしなければならない。

有馬 晴海 政治評論家

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ありま はるみ

1958年 長崎県佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒業。リクルート社勤務などを経て、国会議員秘書となる。1996年より評論家として独立し、テレビ、新聞、雑誌等での政治評論を中心に講演活動を行う。政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材の経験に基づく、優れた分析力と歯切れのよさには定評がある。ポスト小泉レースで用いられた造語「麻垣康三」の発案者。政策立案能力のある国会議員と意見交換しながら政治問題に取り組む一方で、政治の勉強会「隗始(かいし)塾」を主宰し、国民にわかりやすい政治を実践している。主な著書に「有馬理論」(双葉社)、「日本一早い平成史(1989~2009)」(共著・ゴマブックス)「永田町のNewパワーランキング100」(薫風社)、「政治家の禊(みそぎ)」(近代文芸社)など。

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