39歳女性が「結婚はゴールじゃない」と悟った瞬間 条件のいい男性と相談所を介して成婚したが

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さらに、キッチンの棚からは、ファストフード店でコーヒーや紅茶を頼んだときについてくるスティックシュガーが、驚くほど出てきた。それを処分しようとすると、「知らないの? 塩と砂糖には賞味期限がないんだよ。料理に使えるし、勝手に捨てないで」と、取り上げられた。

結局、ほとんどのものを捨てないままに、その日の片付けは終わった。

隣の夫婦の子の泣き声に過剰反応

そして、生活がスタートしてみると、音に対して異常なほどに敏感なこともわかった。会話をしていても「声が大きい。もっと声のボリュームを下げて!」と注意される。夏に隣の家に住む夫婦に赤ちゃんが生まれると、その反応はひどくなった。

「時間を問わずに赤ん坊が泣くから、声がうるさくて、最近熟睡できないんだよ。今日、隣の住人にエレベーターで乗り合わせたから、注意したよ。『子どもが泣いているのに、窓を開けてますよね。ここは集合住宅なので、マナーを守ってください』って言ってやったんだ」

まゆこはそれを聞いて、“赤ちゃんは泣くものだし、部屋の換気をしたければ窓も開けるだろう。なぜそれが大きな気持ちで許せないのか“と思ったそうだ。ただ、そのときは言い争いになるのが嫌で、言葉を飲み込んだ。この頃は、すでにケンカも絶えなくなっていたからだ。

また、食の好みも違っていた。まゆこは夜お酒を飲みながら、野菜や肉や魚などのおかずを少しずつつまむのが好き。一方のたくみは酒をほとんど飲まず、ハンバーグやオムライス、ナポリタンなど、子どもが喜ぶようなメニューをガッツリと食べたがった。

新婚生活がスタートしたばかりの頃は、自分とは違う相手の考え方や食の好み、物を捨てられない性格などを見過ごすようにしたり、許容したりしようと努力していた。しかし、小さなストレスが溜まっていくことで、タメ息をつく回数が多くなったり、家に帰るのが息苦しくなったり、自分の体調が変化していることに段々と気づいていった。

当時を振り返り、まゆこは私に言った。

「もう家のなかでまったく笑えなくなったんです。あと、彼の些細なことにもカチンときて、私がキレるようになった」

ある日曜日の朝、隣の家から赤ちゃんの鳴き声が聞こえてきた。その日は秋だったが朝から気温が高く、隣の家は窓を開けていたのだろう。泣き止まない声にイライラしてきているのが、たくみの表情から読み取れた。そして、「チッ!」と舌打ちすると、テーブルとバンと力いっぱい叩き、テラスに出て隣の家に向かって叫んだ。

「うるさい! 泣き止ませろ!」

その様子にまゆこがキレた。「赤ちゃんは、泣くのが仕事。それを見守るのが大人の仕事。そんなこともわからないの。あなたは、赤ん坊以下だわ!」。

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