「敵失」のおかげ?なぜか民主党に追い風 "アベノミクス解散"の行方
本会議場のある本館2階の廊下は、野党議員と記者であふれていた。廊下で取材陣の質問に答える民主党代表代行の岡田克也氏を見かけた。勝算はあるのかと聞いてみると、一瞬の間をおいて「勝算はあります」と述べた。細野氏にも同じ質問をぶつけてみると、言葉を選びながら「久しぶりの上がっていく選挙だから、これ以上下ってはいけないと思う。大幅増を目指したい」と答えてくれた。
さらに踏み込んで述べてくれたのは笠浩史氏だ。「勝つために戦う。選挙の後に民主党中心の野党再編は十分にありうる」。
衆院が解散されたのは午後1時14分。開かれた扉から議員が次々と吐きだされると、記者たちが有力議員を取り囲んだ。もっとも多くの記者に囲まれたのは渡辺喜美氏だ。三谷英弘氏が渡辺氏をガードするように寄り添っている。渡辺氏の口から出るのは、解散よりも解党について。2日たった後も、その怒りは鎮まらないようだ。
「非常に残念な結末になった。しかしみんなの党のDNAは生かさなくては、地方議員や党員に申し訳ない。これからは(解党に)反対した議員を中心に、新党は選択肢のひとつと考えている。何をするかより誰と組むかが優先された今回の失敗を教訓にしたい」
しかし実際にはさほど仲間は集まってはいないようで、「政党要件を満たす5人も集まらない」と見られている。
自民党議員の表情は暗かった
解散の後は各党が両院議員総会を開く。自民党の控室からは安倍首相の挨拶が聞こえてきた。
「全員が当選するための先導役になっていくことを約束する」
目標値を上げたのは、18日の会見で「与党で過半数」を責任ラインとしたことが批判されたためだろう。だがこの中でどれだけが戻ってくるのか。両議院総会が終わって控室を出る議員たちの顔は、気のせいかやや暗かった。
その後、民主党本部でポスター発表会と第一次公認発表に参加した。前職55名、元職75名、新人22名が公認された。田中真紀子氏の不出馬宣言が注目された新潟5区は空席になっており、蓮舫氏の出馬が噂された東京6区も未定のようだった。
6区は蓮舫氏ではなく、昨年の参院選で公認を取り消された大河原雅子氏になるようだ。この選択は手堅い。蓮舫氏が衆院に鞍替えすると参院補選が行われることになり、民主党は参院の1議席を失うリスクがある。一方で大河原氏の支持母体の生活者ネットワークは、昨年の東京都議選において世田谷区で2万1503票を獲得しており、6区で固定票を持っている。これに民主党支持票を加えると勝てる可能性が高まるというわけだ。
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