「ちゃんとダラダラ休む」が人間に必要な納得理由 メンタル不調から回復までにたどる4つの段階

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例えば1年半と聞いて、「あなたは治るのに1年半かからないし十二分な期間だと思います。だからじっくりちゃんとやりましょう」と自信を持って言える場合もあります。

場合によっては、「2カ月しかないんですか。では、僕もしっかり産業医の先生や会社の担当者の方とも話しましょう。それは、ルールがきついです。ともかくちゃんと必要な人に相談しましょう」ということになります。

不安を乗り越え、前よりもいい状態に

休職期間が終わって職場に戻ったとしても、そこから何もないわけではありません。初めは、どんな方でも、やっぱりおそるおそるです。久しぶりの社会復帰、同僚や上司との再会、緊張もするしうまくいくかもわからない。また会社に戻っていくということは、不安で、エネルギーも使うものです。

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そういう中で、「いや、もう治ったはずだから、同じことは起こらないはず」と頑張りそうになったら、それ自体がまだ回復していない発想だった、と思い出してみてください。また頑張ってしまったら、その結果、後戻りしてしまうかもしれないわけです。

ひと言で言うと、正しく恐れるということが必要だと思います。詭弁のように聞こえるかもしれませんが、正しく恐れるということをちゃんとやっていると、そんなに恐ろしいことにはならないのではないでしょうか。

いつまた何が起こるかわからないから、ともかく無理するのはやめようというふうに考えるのが、正しく恐れるということですね。僕は患者さんに、リミッターをかけるとか、アクセルとブレーキのバランスという言い方をします。

第4段階に至るまで自分のことをしっかりと見つめ直し、自分のことを理解し、自分のことをいとおしく思う、そういう体験をしてきたわけですから。ここまででお伝えしてきたように、意味ある回復のプロセスをじっくり経ることができたのであれば、そんなに簡単に、また弱ってしまったりはしません。

尾林 誉史 VISION PARTNERメンタルクリニック四谷院長

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おばやし たかふみ / Takafumi Obayashi

精神科医、産業医。VISION PARTNERメンタルクリニック四谷院長。
東京大学理学部化学科卒業後、株式会社リクルートに入社。リクルート時代、社内外や年次を問わず発生するメンタル問題に多数遭遇。2006年、産業医を志し退職。退職後、弘前大学医学部に学士編入。東京都立松沢病院にて初期臨床研修修了後、東京大学医学部附属病院精神神経科に所属。

現在は15社の企業にて産業医およびカウンセリング業務を務めるほか、メディアでも精力的に発信を行っている。著書に『先生!毎日けっこうしんどいです。元サラリーマン精神科医がみんなのモヤモヤに答えてみた』(かんき出版)がある。

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