中国が予想外の利下げ、景気てこ入れへ 主要政策金利では約2年ぶり、株高の要因に
[北京 21日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は21日、予想外の利下げを発表した。景気減速兆候が強まる中、てこ入れで経済を支援する。
主要政策金利の引き下げは約2年ぶり。借り入れコストを押し下げ、減速する経済を支援する。
1年物貸出金利は40ベーシスポイント(bp)引き下げ、5.6%、1年物預金金利は25bp引き下げ、2.75%とし、22日から実施する。
人民銀は、「資金調達の難しさ、高水準な資金調達コストは引き続き実体経済における問題として際立っている」と指摘。
また、金利の自由化を進めるとして、預金金利の上限を基準金利の1.1倍から1.2倍に引き上げる方針を示した。
IGフランスの首席市場アナリスト、アレクサンドレ・バラデズ氏は、「中国製造業の活動が縮小する寸前であることを示す購買担当者景気指数(PMI)が出たばかりのタイミングだ」と指摘。
「中国の中銀もまた、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀の道をたどりつつある。中銀が市場を動かしている」と述べた。
最近の経済指標によると、10月の銀行貸し出しは落ち込み、マネーサプライの伸びも鈍化、景気減速の深刻化に対する懸念が高まっていた。これを受け市場では、利下げを含めさらなる景気刺激措置を求める声が広がっていた。
ただエコノミストの間では、財政支出などの措置が優先され、利下げは当面見送りとの見方が多かった。今年一連の小規模対策は打ち出されたものの、中国指導部は、労働市場が底堅い状態を維持するのならば、経済成長率が目標を若干下回ることは容認するとの考えを繰り返し表明している。
習近平国家主席は数週間前のアジア太平洋経済協力会議(APEC)・CEOサミットで、中国経済が直面するリスクは「それほどの脅威ではない」と強調し、政府は危機を回避できると確信していると述べていた。
習主席はまた、経済成長率が7%になっても、世界の中では引き続き先頭を走ることになるとした。
不動産市場の冷え込みや不安定な輸出需要、国内投資の伸び鈍化を背景に、今年の経済成長率は7.4%と、24年ぶりの低水準になると見込まれている。
アナリストらは、景気鈍化で銀行のリスク志向が低下しているため、利下げによる実体経済の押し上げ効果については懐疑的な見方を示している。アナリストの一部は、来年まで数回の利下げが必要になるかもしれないと指摘した。
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