実は子どもの死因「不慮の死」長年上位の衝撃実態 原因がわかれば予防できるのに情報取得を阻む壁

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CDRの根拠となる上述の法律が2つでき、省庁横断的な施策を可能にするこども家庭庁も2023年4月に創設されることが決まった。だが、調査権限をCDRの担当者に与えることについてなど、課題はいくつかある。「だからもう1回立法が必要」という。

自見議員によると、課題の1つに解剖がある。解剖は、死因究明に重要な役割を果たすが、現状では実施率が10%程度にすぎない。吉川さんのケースでも、解剖は行われなかった。事故直後は、子どもの体にこれ以上傷をつけたくないという思いが強かったからだ。

しかし、解剖を選択しなかったことが、吉川さんを後悔させることになった。取材班が取材した他の遺族からも、似たような経験が語られている。

他の先進国に比べて低い日本の解剖率

そもそも日本の解剖率は他の先進諸国と比べて低い。行われたとしても、質は予算不足を反映したレベルになっていることが、長年にわたって指摘されている。

2007年、大相撲の時津風部屋で新弟子(当時17歳)が部屋での暴行によって死亡していたという事件があった。当初は病死と判断されたこの事件を契機に、死因究明を推進する法律はいくつかできた。それでも状況は大きく改善していないと自見議員は言う。

「解剖に関わる予算が少ない。所管する警察が解剖に結び付ける努力をしなければいけない。事件性があるかどうか、ちょっとよくわからないグレーゾーンの解剖を、調査法解剖と言うんです。でも、法律を作ったのに、普及しないんですよね。だから、本当にCDRをやろうと思ったら、調査法解剖も同時にあまねく受け入れるような体制にしないとまずい」

これまで放置されていた子どもに関わる問題に、こども家庭庁はどこまで迫れるのだろうか。課題はCDRだけではない。

例えば、岸田首相の施政方針演説に出てきたDBS(Disclosure and Barring Service)。子どもに接する仕事をする人に「無犯罪証明書」の提出を義務づける、英国で運用さている制度だ。ベビーシッターや教職員による性犯罪から子どもを守ろうと、導入を要望する声が高まっている。その制度導入に関しても縦割り行政が立ちはだかる。

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