不妊治療の人を襲う「よかれと思って暴言」の苦痛 職場・夫・親・友人「ケース別」NG言動を紹介

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医療に頼らざるをえないからつらい思いをして治療をしているのに、単なる先入観により不妊治療への不信感を口にする人も多い(もちろん、これらの考えに科学的根拠はない)。

ホルモン剤とか将来どんな影響があるからわからないからやめておけと言われた(30代専業主婦)

・子どもが生まれてから実母に「体外受精で生まれた子は障害も多いって聞くけれど、○○ちゃんがそうでなくてよかったわ」と言われた。2人目も治療するかもしれないのに(30代会社員)
Fineが発行する「不妊白書」には治療当事者の声が多く載せられている(筆者撮影)

「できれば、そっとしておいてほしい、というのが不妊治療をしているほとんどの人の気持ち。一般的な関係なら、不妊治療をしていると聞いてもサラッと流してほしい。そして、『何か協力できることがあったら、言ってね』とひとこと言っていただければ、それがいちばんうれしいと思います」(松本さん)

実際、「結局、子どもとか妊活について何も言われない、触れられないことが、いちばんうれしかった。ダメだった月に『お寿司、食べよ!』と誘ってくれたことなんかはうれしかった」(30代専業主婦)という声も聞かれる。

結局は「関係性次第」ではあるが…

当たり前のことではあるが、結局、不妊治療をしている人が何を言われたいか、どうされたいかは、平素の人間関係によるところも大きい。職場しかり、夫婦もまたしかりである。

普段からお互いを思いやる人間関係があれば、デリケートな場面も乗り切れる。それは不妊治療のみならず、介護や闘病といったさまざまな局面でも同じはずだ。

(2日目第4回は「1年以内に閉経も」32歳女性が選んだ妊娠への道

2日目第1回:後悔しない「不妊治療の病院選び」ポイント5つ
2日目第2回:40歳を前に「卵子凍結」した女性の偽らざる本音

河合 蘭 出産ジャーナリスト

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かわい らん / Ran Kawai

出産ジャーナリスト。1959年東京都生まれ。カメラマンとして活動後、1986年より出産に関する執筆活動を開始。東京医科歯科大学、聖路加国際大学大学院等の非常勤講師も務める。著書に『未妊―「産む」と決められない』(NHK出版)、『卵子老化の真実』(文春新書)など多数。2016年『出生前診断』(朝日新書)で科学ジャーナリスト賞受賞。

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