地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていく――。これが岸田政権の掲げる「デジタル田園都市国家構想」の骨子だ。
具体的には、テレワークを活用した地方での仕事確保、ビッグデータやスマート農業などによる成長産業創出、教育や医療などの福祉の拡充、デジタルを活用した新しい都市作りを進めるスーパーシティ構想の早期実現などが挙げられている。
ある日本株投信のファンドマネジャーは、「距離の制約をなくすデジタル化のメリットにより、地方企業のビジネスチャンスが増え、大きな変化が生まれる可能性がある」と期待を寄せる。
『会社四季報プロ500』2022年春号(3月18日発売)では、デジタルインフラを拡充するための海底ケーブル網の整備や、スマート農業、スーパーシティ構想といった、デジタル田園都市国家構想の関連銘柄をリストアップ。デジタル実装が優秀な人材確保やビジネス面で追い風となる可能性がある、地方に本社を構える業績好調企業についても紹介している。
今回は新たに、東京圏、大阪圏、愛知圏の都市部以外の地方に本社を構える全上場企業を対象に、今期の営業増益率(四季報予想ベース)でランキングを集計した。
広島、長野、岐阜・・・生産拠点増強の動きも
増益率トップのマツダ(7261)は、広島県安芸郡に本社を構える自動車メーカー。半導体不足の影響が生産に響く今期の営業利益は回復途上の段階とはいえ、新型コロナウイルスの影響が直撃した前期の水準からは9.3倍と大きく拡大。半導体不足の影響は徐々に回復に向かうとみられ、来2023年3月期も業績改善が続きそうだ。
長野県長野市に本社を置く2位の新光電気工業(6967)は、アメリカのインテル向けを主軸とする半導体パッケージの大手。在宅勤務の普及によるPC需要の拡大が半導体パッケージに強い追い風となっており、今2022年3月期は営業益が3倍に急成長。2007年3月以来、実に15年ぶりとなる最高純益更新が目前に迫っている。
供給能力の拡充に余念がなく、長野県に展開する既存工場の増産投資を進めるほか、千曲市に新たな生産拠点を設立する計画もある。
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