同じ長野県では、固定抵抗器の世界大手KOA(6999)が3位。「信州伊那谷の農村で生活基盤づくりと安定した暮らしを実現する」という創業者の会社設立当時の思いを背景に、長野県を中心に国内生産が全体の7割を占める。
主力の自動車向けや産機向けがコロナ影響から改善するほか、航続距離の延長に貢献するEV(電気自動車)モーター用の高精度薄膜チップ抵抗器が業績拡大を牽引。今2022年3月期は営業益が2.7倍に拡大する見通しだ。
半導体パッケージでは、岐阜県大垣市に拠点を持つイビデン(4062)も10位にランクインした。2位の新光電気工業と同様、インテル向けの売り上げが好調に推移している。
イビデンは大垣市の河間事業場で2023年度の竣工予定で新棟建設を進めるほか、同工場から5キロメートルほどの立地にある大野町に15万平方メートルもの広さの新たな工場用地を2023年9月引き渡し予定で取得。需要拡大の続く高機能ICパッケージのさらなる生産能力増強に余念がない。
アウトドアなど「脱3密」需要に今後も期待
23位は、刃物で有名な新潟県三条市から生まれた人気アウトドアメーカー、スノーピーク(7816)だ。キャンプ用品や登山用品、アパレルなどを展開する。
コロナ禍での脱3密によるアウトドア人気の高まりを受けて、業績が躍進。営業利益が2.6倍となった前2021年12月期に続き、今期も36.9%増益と大幅増が続く計画だ。本社は自然豊かな丘陵地帯にあり、広大なキャンプ場も併設。地方ならではの立地が、魅力的なアウトドア用品のものづくりにつながっている。
人口当たりの社長輩出率が高いことで知られる福井県からは、セーレン(3569)が36位にランクイン。福井市の絹精練から発祥したが、現在の収益柱は自動車用シート材。自動車メーカーの生産が前期と比べて改善傾向にあることから、今2022年3月期は21.2%増益となる見通し。耐久性に優れた合皮素材が新車種に採用されるなど、来2023年3月期も25%増益と高い伸びが続きそうだ。
また、セーレンには福井県や東京大学などと連携し、超小型人工衛星の開発に取り組むという一面もある。人工衛星から得られるデータの利活用を推進するなど、宇宙ビジネスに本格的に参入している。
2021年は東京都への転入超過の人数が前年比で8割以上減少。比較可能な期間で最少となった。コロナ禍で在宅勤務やテレワークが普及し、人口が密集する東京へ出る若者が減ったためだという。こうした流れの中、国を挙げての環境整備が進む地方の可能性に注目したい。
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