日経平均は2万7000円前後まで戻る可能性がある ウクライナ危機で予想される「3つのシナリオ」

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まず、今回のFOMCにはサプライズはないだろう。すでに2日にジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長は、今回FOMCについて「0.25%の利上げを支持する提案をする」と発言しているからだ。ただ、インフレが高止まりすれば「積極的に動く」とも発言している。

そのため「5月以降のFOMC会合での0.5%利上げを否定しなかった」と警戒するマーケット参加者もいる。今回のFOMCでのサプライズがなくても、次回以降(5、6月の会合)の会合は引き続き注視だ(サプライズがある可能性が高い)。

ただ、今回のFOMCで、想定以上の利上げやQTの方向性が示されるなら、日経平均株価の2万4000円前後(2万4500円~2万3500円)までの下落は覚悟すべきだろう。

では②のウクライナ危機の行方はどうなるか。周知の通り、2月24日以降のロシア軍によるウクライナ侵攻は、ここ数十年で最大級の地政学的ショックと言える。世界のマーケット参加者のほとんどは、このようなひどい事態になると想定していなかった。

そのため、原油や商品価格は高騰、ロシアやヨーロッパを中心に世界の株式市場は下落した。現状、ロシアは、欧米からの制裁措置や企業活動の禁止によって経済と金融市場が機能不全に陥っており、ロシア関連に投資している国内外の投資家は深刻な影響を受けている。

ウクライナ危機を「3つのシナリオ」で考える

最終的にどのような展開となるかはまだわからない。だが、投資家としては、今後どのように行動すべきか、A「危機緩和」、B「消耗戦」、C「深刻化」の「3つのシナリオ」で考えてみたい。

【シナリオA:「停戦」=確率50%】まず、危機緩和のシナリオだ。基本シナリオは「停戦」である。ウクライナとロシアが数週間以内に停戦に合意し、建設的な協議を実施するというもので、事態の緩和を予想する。

最も懲罰的な制裁措置(ロシアの銀行に対する「SWIFT」=国際決済システムからのアクセス禁止やロシア中央銀行の資産凍結など)は解除されるものの、それ以外のほとんどの措置(ロシア政権に近い個人や団体が所有する資産の凍結や輸出制限など)は依然維持される。

この場合、アメリカと欧州の経済成長率は上昇トレンドに戻る。インフレ率は2022年第1四半期にピークをつけるものの、高止まり(過去平均を上回って推移)の可能性が高い。FRBの金融引き締めは、市場の現在の予想どおり、3月に開始されると予想。ただし、よりタカ派的なスタンスに軸足を移すリスクは、ほぼない。

一方、企業収益が増益予想の維持や上方修正されることで、株式は上昇する可能性が高い。アメリカの10年債利回りは緩やかに上昇し、2.2%程度に落ち着くと予想する。この場合は、「シクリカル・バリュー株」(景気敏感・割安株)などに引き続き注目だ。

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