大敗でも「ノーチェンジ」、オバマ経済政策の前途
11月2日の米中間選挙で大敗を喫した米民主党。上院では多数派を維持したが、下院では野党・共和党が過半数を占め、共和党からはオバマ大統領に経済政策の軌道修正を迫る意見が聞こえる。だが、その声は当の大統領には届いていないようだ。
オバマ大統領は選挙後の記者会見で、「国民の多くが景気回復の遅れに大きな不満を抱えている」と認めたものの、自身の政策に責任があるとはしていない。米ワシントンタイムズ紙は翌日の社説で「大統領は、有権者たちは景気に対して不満があるだけで、彼の経済政策に対して不信感があるとは夢にも思っていないようだ。政策は官僚ではなく、政府主導で進めるべきと考えているのだろう」と皮肉たっぷりに分析した。
実際、オバマ政権が経済政策で従来路線からの転換に大きく舵を切るのは難しいだろう。こうした中、重要政策をめぐる与野党対立は避けられそうにない。
「ブッシュ減税」では歩み寄り見込めず?
両党とも選挙後の最大の課題は雇用回復との認識で一致している。雇用環境はしだいに改善しているが、10月の失業率は9・6%と依然高水準。米労働省は、長引く不況で求職をあきらめた人やパートに就いた人を含めた実質的な失業率は20%近くに上る、とも見ている。
雇用回復へのアプローチは両党で大きく異なる。中でも、年末に向けて最大の焦点となるのが、ブッシュ前大統領が導入した個人所得に対する大型減税、通称「ブッシュ減税」の扱いだ。12月末に期限切れを迎える中、オバマ政権は減税は継続するものの、対象者を年収25万ドル以下に絞り、高所得者層への減税を打ち切る方針を示している。