大敗でも「ノーチェンジ」、オバマ経済政策の前途

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これに対して共和党は現状のままでの減税継続を主張。対象の2%に当たる年収25万ドル超の高所得者の多くは中小企業の事業主であり、こうした事業主が減税を新たな投資や人員拡充(雇用拡大)に充てていると主張する。いずれにせよ、延長措置が取られないかぎり、年明けからは年収25万ドル以下の所得者でも減税がなくなるため、個人消費への影響は大きい。

オバマ政権内部には、減税打ち切り対象者の年収の下限を50万~100万ドルに引き上げる案も検討されているが、政府筋によると、大統領が大幅に譲歩する可能性は低い。

オバマ大統領の“強気”の背景にあるのは、4月末に発足した、超党派による財政再建を検討する委員会の存在だ。財政赤字が1兆ドルを超える状態が続く中、財政再建への取り組みとして始まった同委員会。12月初旬に削減策についての提言を発表する予定となっているが、その内容は「増税と歳出削減の組み合わせ」になるとの見方が濃厚だ。オバマ大統領は、歳出削減を掲げながら巨額の財政支出を伴う減税延長を求める共和党の「矛盾」を突いてくるとみられる。

オバマ大統領は、経済を建て直すには自身の政策が最良との考えを持っている。総額約8000億ドルに上る大型景気刺激策や、米ゼネラル・モーターズ(GM)への公的資金注入など、就任後の取り組みには「大きな政府への回帰」との批判もあった。だが、こうした措置はあくまで緊急対策であり、共和党が敵視するような、財政支出拡大路線とは違うと考えている。

もっとも、従来政策の継続による米経済への影響は限定的と見る向きもある。米JPモルガンは、「ブッシュ減税」失効によって、GDP(国内総生産)成長率は少なくとも1%程度減少すると予測している。実際問題として、民主党案なら米国民の98%は引き続き減税対象者となるため、経済成長の足を急激に引っ張るほどのインパクトはないだろう。


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