韓国・新大統領が模索する日韓関係の「突破口」 高まる日本の期待、外交経験なき新トップの壁

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

検事出身の尹氏にはもちろん外交経験はない。選挙中には「半島有事の際、日本の自衛隊が韓半島に入ってくる」などの失言を繰り返し、外交・安保政策についての知識や経験の不足を露呈させている。

したがって米韓同盟の再構築や日韓関係の改善などの政策は尹氏本人の考えというより、尹氏を支える政策チームの考えだ。著名な元外務官僚や大学教授らがメンバーで、保守勢力の対外政策を色濃く反映した内容となっている。

問題は、こうした政策転換を本当に実行できるかだ。

野党支配の議会がネックに

日韓関係にとって最大の問題は、元徴用工や元慰安婦の問題だ。日本政府は基金設立の資金提供など日韓間の合意に基づいて対応しており、これらの問題は解決済みという立場だ。特に元徴用工問題では韓国の大法院判決(日本の最高裁判所判決に相当)に基づいて日本企業の資産が差し押さえられ、現金化の手続きが進んでいる。

現金化されると日韓間の対立がさらに悪化しかねない。日本企業が損害を被らないような形での解決策を韓国政府が見出す以外に方法はない状況だが、日本政府の協力や柔軟な対応も欠かせないだろう。

それ以上に問題なのは、野党となる進歩勢力が圧倒的多数を占める韓国議会の存在だ。韓国の大統領は「帝王的大統領」と言われるほど強い権力を持っている。しかし、その大統領でも法律などは議会の賛成を得なければ成立させることができない。

現在の韓国議会は定数が300で、進歩系が6割の180を占めている。尹政権で与党となる保守系はわずか100議席余りしかない。韓国では、重要法案は全議員の6割の賛成がなければ国会に提出することもできない。つまり野党勢力が反対すれば、政権が進めたい重要政策を議会はことごとく葬り去ることが可能なのだ。

次ページ激しさを増す韓国政界の与野党対立
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事