韓国・新大統領が模索する日韓関係の「突破口」 高まる日本の期待、外交経験なき新トップの壁

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韓国の大統領選に勝利後、演説する尹錫悦氏(右、写真:AA/時事通信フォト)

韓国の大統領選の結果、政権交代が実現し、保守派の尹錫悦・元検事総長が次期大統領に就任することになった。

尹氏は「小渕恵三・金大中の韓日パートナーシップ宣言の精神を取り戻す」「日韓首脳のシャトル外交を復活させる」など、日本にとって耳当たりのよい公約を掲げている。日本では日韓関係の改善に期待が高まっている。

文政権の対外政策を早速否定

尹氏への「期待」は日韓関係だけではない。10日未明に当選が決まると、尹氏は数時間後にはアメリカのバイデン大統領と電話会談。米韓同盟強化の方針を伝えている。

国民向けの演説でも「米韓同盟を再建し、自由民主主義と市場経済、人権の価値を共有し同盟を強化する」と発言している。日韓関係の改善にも改めて言及しており、初日から外交・安全保障について積極的な発言をしている。

言うまでもなく、こうした政策は文在寅現政権の対外政策の否定である。北朝鮮との関係改善を優先するあまり、文政権は場当たり的で、戦略性や一貫性のない対応を続けてきた。その結果、日本だけでなく米中との関係も悪化したうえ、肝心の北朝鮮との関係はほとんど何も進展していない。近隣諸国との関係はおしなべて失敗に終わったといえる。

尹氏は選挙期間中、文政権の対外政策を徹底的に批判し続けた。対北政策は文政権の融和路線を捨て、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の対応を批判するとともに非核化を前面に出し、非核化が進まない限り経済支援も制裁緩和も認めないという立場をとっている。

中国に対しては文政権の対中政策を「中国寄りだ」と批判し(外交専門誌「Foreign Affairs」電子版)、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の追加配備やアメリカのミサイル防衛網への参加、日米韓の軍事同盟化の3つの政策を認めないという文政権の「三不政策」を否定し、アメリカなどとの同盟関係が基軸であるべきとしている。

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