運賃値上げ議論が本格化、「JR・私鉄」交錯する思惑 オフピーク定期券、届出制、有事への備え…

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では各社の説明を個別に見ていこう。

JR東日本は「総括原価方式に基づく運賃改定スキームは、航空や高速バスと比較すると硬直的であるため、柔軟で弾力的な制度の構築をお願いしたい」と主張し、認可対象の運賃の種類を減らすよう求めたほか、新幹線特急料金の届出制への変更を要望した。

また、総括原価方式を前提とする場合でも、現行制度で支出の一部分に限られている基準コストについて、可能な限り広くカバーするよう求めたほか、「経営環境の大きく異なるJR6社の比較は適切とはいえない」として、JR上場4社によるグルーピングを提案した。

同社の深澤祐二社長は「通勤時間帯のピークシフトを促すため、オフピークの運賃を下げると同時に、薄く広く全体の運賃を上げてプラスマイナスゼロになる新しいオフピーク定期を作りたい」と発言していたとおり、今回のヒアリングでは、オフピーク定期券についても「早期導入に向けて、通常の認可手続きによらず、特例的な認可を行うことをご検討いただきたい」とした。

JR東海は「制度の一律適用」に反対

JR西日本は、京阪神において都市圏域が拡大しており旅客利用状況と運賃体系が必ずしも合致していないとして、「都市圏の利用状況に適した運賃体系の実現に向けた特例的な認可または届出化」を要望した。また、「運賃改定時の収入算定期間に急激な減収期間を含めた審査」や「急激な減収局面に際して臨時的に運賃が加算できる仕組み」の検討を求めた。

JR九州は「運賃改定の条件が厳しいため、事業者はコスト削減をはじめとした効率化策に着手しがち」と訴え、「災害や原油等の変化を織り込んだ簡便な手続きによる柔軟な運賃設定の制度が鉄道事業の安定化につながる」と要望した。

JR東海の要望は「運賃・料金改定時の審査手続き等を簡便・迅速にする等の方策は検討していただきたい」というものだった。また、仮に現行制度を見直す場合であっても、「各社に対して当該制度を一律に適用しないようにしていただきたい」と求めた。JR東海は収益に占める新幹線の比重が大きく、費用構造が他社と大きく異なる。総括原価方式における基準コストの算出基準が変更されるケースを踏まえてのものとみられる。

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