韓国大統領選挙に保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦前検事総長が勝利したことで、日本国内では韓国との関係が改善するきっかけになると期待する声が出ている。文在寅政権下では元徴用工訴訟への対応などを巡り、「戦後最悪」と言われる状態にまで冷え込んだ。
岸田文雄首相は10日、今後の日韓関係について「国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づいて発展させていく必要がある」と指摘した上で、「尹次期大統領のリーダーシップには期待したい」と記者団に語った。自らも「日韓関係改善のため、新大統領と緊密に協力をしていく考えだ」とも述べた。
日韓関係で懸案の一つとなっている元徴用工訴訟で日本製鉄や三菱重工業の資産を現金化する手続きが進行している。岸田首相は「日本の一貫した立場に基づいて健全な関係を取り戻すべく、新大統領と緊密に意思疎通を図っていくことが重要だ。そういった思いで新政権の動きも見ていきたいし、対話をしてみたい」と述べた。
2017年5月からの文政権下では、元徴用工や元慰安婦など歴史問題を巡って日韓対立は深刻化した。日本がフッ化水素など半導体材料3品目の対韓輸出規制を厳格化した措置や、「佐渡島の金山」の世界文化遺産への登録推薦にも、韓国側は反発している。対面形式での首脳会談は安倍政権時代の19年12月以降、開かれていない。