ビームスが「VRから店舗への送客」に成功したワケ 人が人を引き寄せることで「物が売れる」構図

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中央の帽子をかぶったアバターが、お忍びでバーチャルショップにやってきたももクロメンバーの百田夏菜子さん。その場に居合わせたお客さんとの交流を楽しんでいた(画像:ビームス)

2020年12月はコロナ禍で密となる行為に強い制限がかかっていた時期。ファンにとっては大好きで推しているアイドルやアーティストとライブで会えず、アイドルやアーティストにとってもファンと会えない時期だった。しかし仮想空間内であれば、アバターを介せば直接話してコミュニケーションができ、多くのユーザーに喜んでもらえたとのこと。

「企画力でもって何かことを起こして、人が人を引き寄せることで物が売れるという構図は、リアルショップも、バーチャルショップも変わらないんだなという確認ができました」(木下さん)

有料コラボアバターに注目が集まる

2回目の参加となったバーチャルマーケット6(2021年8月)では、次のミッションとして物品販売の売り上げ増を目指したビームス。そのための施策として、バーチャルショップ自体を魅力的だと思ってもらえるように、時間を問わずに面白い体験ができるように作り込んだ。これはビームスにとっても大きなシフトになったという。

「メタバースにおける小売りの手応えは1回目で感じていました。でも、得られたのがそれだけだったら2度目以降は参加をやめていました。そのほかにメタバースコマースにおいて、サービスや商品、企業が密接につながり合うエコシステムがまだ形成されていないという点が気になったんです。

メタバース内でのリアルアイテムの販売は、まだまだ始まったばかり。この生まれたての状態に対して、僕らが強みをもって取り組めるのはなんだろうと考えたとき、リアルショップを持っているからこそ、どういう体験をしてもらったらバーチャルからリアルに行くためのきっかけとなるのかを試してみたいと思いました」(木村さん)

昭和時代を感じさせる古き良き銭湯は、特に海外のユーザーから好まれた。無料で使える、銭湯に合った格好のアバターも用意され、多くの人がバーチャルな銭湯体験を楽しんだ(画像:ビームス)

「そこでバーチャルショップの2階にバーチャル銭湯を作りました。『テルマエ・ロマエ』作者のヤマザキマリさん描き下ろしの銭湯絵を掲げて実際に東京・東上野の寿湯で開催中だった企画をVRで再現して、洗い場や湯船、サウナ室にアバター姿で入って楽しんでもらえるようにしました。

Twitterを見ると、大勢でお風呂やサウナ室に入っている写真がシェアされるなど、この施策からバーチャルショップが居場所になるという盛り上がりが見えました」(木下さん)

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