もう1つは大規模イベントにおける期間限定のバーチャルストア展開だ。延べ人数とはいえ数万人、数十万人の人が集う場所の一角を借りてオープンするのであれば、バーチャル店舗運営の効果は期待できる。
ここで外して考えてはいけないのがバーチャルマーケットの存在。これはVRベンチャー企業HIKKYが2018年8月より『VRChat』などで開催しているイベントで、メタバース空間内で必要となるアバターなどを、リアルな展示即売会と同じようにいろんな角度から眺めて、近づいて細部を見て、鏡の前で試着できるというもの。このバーチャルマーケットによって、従来はECショップで2次元画像を見て購入していたアバターやアクセサリーのデータを、VRゴーグルごしに立体的にチェックできるようになった。
初回は約80サークルおよび2企業が出展したという規模だったものの、2019年3月のバーチャルマーケット2は約400サークル・約20企業が出展し、来場者数は12万5000人に拡大。続く2019年9月のバーチャルマーケット2は約600サークル・約30企業が出展し、来場者数は70万人と、会を重ねるにつれて注目度が高まり大規模化。2020年4~5月開催のバーチャルマーケット4では計1104ブースなり、「バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数」のギネス世界記録に認定された。また2020年12月~2021年1月開催のバーチャルマーケット5は世界中からの来場者数114万人となった。
バーチャルストア期間限定展開の攻略法とは?
このバーチャルマーケットに3回連続で出展している企業が、アパレルのビームス。社長室広報部兼ビジネスプロデュース部VR担当の木下香奈さん、ビジネス統括部ビジネスプロデュース3課 課長の木村淳さんに、バーチャルストア期間限定展開の攻略法を聞いた。
「私たちとしては初回の参加となったバーチャルマーケット5当時は、まだVRの中でお客さまにお会いしたことがなかったですし、どういったアイテムが好まれているのかといった需要もデータでしか知ることができなかったんです。しかしアバターを着てリアルタイムで会話ができるっていうことに強いソーシャル感を感じていたので、イベントをすることでお客様に面白がってもらったり、バーチャルショップで購入してもらうにあたってどういうバーチャル店舗デザインにするべきかということを考えていました。そこで 2020年の12月バーチャルマーケット5では、ももいろクローバーZのメンバーの専用のアバターを作り、お1人おひとり違う日にバーチャルショップに入っていただくという施策をしてみました」(木下さん)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら