スマートフォンが電子部品需要を牽引、村田、京セラの意外な活況
好調だった電子部品の受注は、今年7月から減速し始め、その先行きが不安視されていた。が、ここにきて一転。部品大手は関西系メーカーを中心に、想定以上の需要に沸いている。
各社首脳は総じて強気の見通しを示す。「来年に向けて受注の伸びは当初想定よりも大きくなる」(藤田能孝・村田製作所副社長)、「2011年度にかけて受注は順調に推移する見通しだ」(前田辰巳・京セラ副社長)、「10月から再び増産体制に入った。大規模データセンターの増加で今後も水準は高い」(永守重信・日本電産社長)。
最も顕著なのは村田だ。旺盛な部品需要を受け、10年度の設備投資を当初計画から70億円上積みし、520億円とした。福井県や島根県の工場では生産ラインを拡充。中国でも江蘇省無錫市に建設中の新工場のラインを増やす(来年4月稼働)。主力であるセラミックコンデンサーの生産能力を、来年6月には今年3月比で3割増に引き上げる計画だ。昨年3月から閉鎖していた仙台工場を来年4月にも再稼働させ、フィルター部品の生産能力も増強する。
受注残が豊富な京セラでも、電子機器向け部品の工場がフル操業状態。当初計画に沿って、来年3月までに鹿児島工場の半導体部品の生産能力を拡充する。日本電産も、中国の広東省で光ディスク用小型モーターなどの工場を建設し、11月中に稼働する。