スペインへ財政危機が飛び火する可能性は低い--ローランド・ベルガー リカルド・ベアハーン氏
ギリシャの次はスペインか--。世界の金融市場には、欧州の財政危機問題がギリシャからスペインへ飛び火するとの見方が根強く残る。欧州経営コンサルティング大手、ドイツのローランド・ベルガーでスペイン・ポルトガル金融チームならびにリテールバンキング部門の責任者を務めるリカルド・ベアハーン氏に現地の経済・金融情勢などを聞いた。
--スペインを始め欧州の金融機関の経営不安は7月のストレステスト以降、後退した感がありますね。
まだ、不安定ではありますが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率などを見ても、傾向として右肩下がりになっているのは確かです。少なくとも、スペインの債務不履行(デフォルト)や同国銀行の経営破たんなどの可能性は低いといえるでしょう。
--ギリシャの一部銀行などにとっては、欧州中央銀行(ECB)による資金供給が“命綱”になっているのでしょうか。
そういう面もあるでしょう。ただ、資金供給を受けた金融機関は預金者に対して高い金利を提示することができるが、供給を受けていない金融機関は高い預金金利が出せないといった事態も起きている。これでは公正な競争とは言えません。そのような点はコントロールする必要があります。
--ストレステストをめぐっては、ギリシャのデフォルトを前提にしていないなどの批判がありました。
完璧でなかったのは確かです。個々の銀行経営の信頼度を見るうえでは役に立ったかもしれませんが、すべてのリスクシナリオを織り込んだわけではなく、テストは“マイルド”なものでした。スペインの金融機関のバランスシートには多くの不動産が含まれていますが、そのバリュエーションの変化に伴うリスクをフルにカバーしていたとはいえません。