英国名門大生の知性は「共同生活」で磨かれる

日本の忍者マンガやラーメンも「創造」の材料に

まず、オックスフォードとケンブリッジ、この2つの大学の独自のシステムとして、日本でもよく知られているカレッジ制の面白さをご紹介したい。これは設立当時、教育の中心を担っていた修道院の形が、いつの間にか大学のシステムとして根付いていったというイギリスらしい産物である。

両大学の学生と職員は授業・研究を行う「学部」に所属するが、同時に学部とは独立した「カレッジ」という寄宿舎にも所属し、基本的にはそこで生活をする。研究分野も人種も年齢も国籍もバラバラな人たちが、ケンブリッジ大あるいはオックスフォード大というシンボルのみを共有しているのだ。向学心の高い者にとって、この環境は新しいアイデアを生む最適の場所だ。

たとえば、私が留学して間もない頃、同じカレッジに住む日本好きのポルトガル人にラーメンを私の部屋で振る舞ったときに、こんなことがあった。

「オタマジャクシの脳の研究をしている」

私たちはラーメンを食べながら、互いの国や、キャリア、研究について話を交わした。彼がどんなことをしている人なのか聞いてみると、「オタマジャクシの脳の研究をしている」と言う。

「は??」、物理学をやっていて、いつも半導体に光を当てたり、電場や磁場を加えたりしている私にとって、まったく想像がつかない未知の話であった。彼は自身の研究の目的や意義などを話してくれたが、現場のイメージができないため、今いちピンと来ない。

「今から研究室に戻るから一緒についておいで」。彼は自分の研究所に私を案内し、実際のサンプルであるオタマジャクシと実験のプロセスを目の前で見せてくれた。

なるほど、薬品を使うとオタマジャクシの脳のある部位が顕微鏡でしっかりと観察できた。オタマジャクシの脳の再生機構の解明から人の脳の病気の治療につながって行くという。もちろん、生物学の知識が乏しいため、すべて理解することはできなかったが、ついさっきまでピンと来なかった知識が「実物」を見ることでより実感的に頭に入ってきた。

一方で、彼のほうも、「君が使っている半導体って何色?」などと聞くので、今度は私の研究室を案内し、真っ黒で何の面白みもないガリウムヒ素の基板を見せてあげたりした。リアクションはそのまま「Oh, it's black...」だった。

せっかくなので、当時、行っていた詳細な電気測定の方法や物理学における観察手法(磁気共鳴法など)を教えると、彼はこの手法が彼自身の研究に使えないか、アイデアを求めて私の話を聞いていた。

次ページはじまりは某人気忍者漫画だった
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