「bZ4X」試乗でわかったトヨタBEV戦略の方向性 あえて「BEVらしさ」を強調せず「普通の車」へ

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後席に座ってみると、ホイールベースが長いためレッグスペースはゆったりしていた。また、ラゲッジスペースもかなりの容量があり、後席を前に倒してその上に寝そべってみたところ、車中泊をするかどうかは別として、開放的な気分になった。では、走り味はどうだろう。

過激さは不要「乗り心地」を最優先に

試乗するにあたり、新型コロナ感染症拡大防止の観点から、製品プレゼンテーションを動画配信サイトで事前に視聴した。

その中で、開発を統括したトヨタZEVファクトリー主査の井戸大介氏は、bZ4Xを「滑らかで思いのままに操ることができる走行性能と、本格的SUVとしての走破性を追求したモデル」と表現している。筆者は、別の組が走行している様子をピット上から見たが、その第一印象は「乗り心地がよさそうだ」だった。

試乗会場には共同開発モデルであるスバル「ソルテラ」も展示されていた(筆者撮影)

筆者に割り当てられた試乗時間がきて、最初はAWD(4輪駆動車)に乗る。舞台はサーキットだが、クルマの性格上、ガンガン飛ばして走るタイプではない。実際、トヨタはコース上の各所にスローダウンするためのパイロンを立て、高速道路での合流加速などを模擬するレイアウトを組んでいたから、一般道路や高速道路での走りのイメージを感じ取るように心がけて走ることにした。

走り出して最初に感じたのは、外から見て感じていた通り、乗り心地がいいことだった。このところ、日米欧韓の様々なメーカーのBEVにいろいろなシチュエーションで試乗しているのだが、乗り心地についてはそれらの中でトップクラスだといえる。

乗り心地の評価の基本3項目であるNVH(ノイズ:音、バイブレーション:振動、ハーシュネス:路面からの突き上げ)は、量産に向けてさらにブラッシュアップされる可能性が高いが、この時点でもレベルが十分に高い。バッテリー容量が大きなBEVの場合、バッテリーの重さからハーシュネスを強めに感じることが多いが、bZ4Xにそうした心配は無縁のようだ。

バッテリーは床下に設置される(写真:トヨタ自動車)

車両重量は当然、それなりにあるのだが、単なる「ドッシリ」や「ガッシリ」という表現は通用しない。クルマ全体に一体感があり、とても操りやすいのである。

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