ソフトバンクが握るPHS400万の命運、コストダウンで再建…次なる一手は
10月14日、ウィルコムが東京地方裁判所に更生計画案を提出した。更生債権410億円(債権放棄率は86%)を6年かけて返済する方針で、年内にも裁判所の認可決定を受けて計画遂行へと移る。計画案に記された事業損益計画によると2013年度に黒字転換を果たす道筋を立てている。ただ、V字計画ではあるが派手さはない。営業収益は右肩下がりで、営業費用の内訳ではネットワーク運営費用をかなり絞り込む計画を組んでおり、黒字転換はコストダウンが主要因だからだ。
携帯電話事業者との競争激化で資金繰りに窮し、同社が会社更正法の適用申請を行ったのは今年2月。翌3月に企業再生支援機構がJALに続く第2号案件として支援決定した。ただしJALのような巨額の増資引き受けまで踏み込まず、あくまで融資支援のみ。全面的な再生支援を担うのはソフトバンクである。
当初の再建案では、現行のPHS事業にはファンドのみが出資し、ソフトバンクは既存会社から切り離した次世代PHS事業にだけ出資する予定だった。しかし、法的整理以後も契約者数の減少が止まらず、計画の提出期限(7月20日)を3カ月延期。
1年前、同社は経営再建を懸けて、私的整理の一種である事業再生ADRの利用手続きを申請。債務返済を後ろ倒しして、何とか生き残りを図ろうとした。だが、契約者流出を受けて銀行側が事業再生計画に難色を示し、結局、計画がまとまらず法的整理に追い込まれた経緯がある。