「那覇の象徴」の設計、なぜ中国企業に委託? 西野議員「知事選の争点は辺野古だけではない」

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「沖縄振興のための交付金は、本来はこうした人たちのために使われるべきだったのです。ところがもっぱら公共事業に消費されてきました。公共事業はその時の景気浮揚に役にたちますが、雇用を維持することができず、安定的雇用に繋がらないという問題があります」

新シンボルの総費用は2億5000万円

しかもとんでもない公共事業もあると、西野氏は述べる。

「那覇市が計画している龍柱です。都市計画法に基づき、新しい那覇市のシンボルとして、若狭に高さ15メートルの龍柱を建設することにしたのです。総費用は2億5000万円ですが、うち1億6000万円はデザインなどを担当した中国企業に支払われるというのです。いったいこの龍柱が、どのくらい沖縄県民の生活の向上に役にたつのでしょうか。なぜ中国企業に委託したのでしょうか。せっかくの交付金が県内にまわらず、海外に流れるだけではないでしょうか」

西野氏は続ける。

「確かに沖縄には在日米軍の基地の74%が存在するため、その負担は小さくありません。しかし沖縄に基地を置く地政学上のメリットがあり、その恩恵は日本全体が受けているのです。よってそのコストも日本全体で広く負担することは必要で、沖縄が特別の交付金を受けることは当たり前だと思います。

ただしそれは沖縄の人たちの生活の向上に繋がることが前提です。そこを見失った行政は、意味があるとは思えません。

確かに在日米軍基地に関しての問題は存在します。たとえば日米地位協定です。米軍人や軍属が犯罪をおかした場合の刑事手続きで、犯罪者の身柄引き渡しについて運用面で改善されるようになりましたが、まだ完全なものではありません。それでは沖縄の人々に安心した生活が保障でいません。ただこれは高度な政治問題なので、国政のレベルで米国側とかけあうべきです」

沖縄の問題は全国の問題だから、これからも沖縄を注視していきたいと西野氏は言う。

「今は沖縄県知事選に注目しています。イデオロギー闘争はもういらない。それよりも沖縄の人々の生活を向上させることに熱意をもった人、必ずそれをやり遂げるという確固たる意思を持つ人に是非とも知事になっていただきたい」

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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