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西野議員「知事選の争点は辺野古だけではない」

歪められたイデオロギー闘争で基地問題が紛糾した結果、沖縄県民の生活が取り残されてしまったと西野氏は考える。

「昭和47年に沖縄が返還されて以来、日本政府は沖縄振興政策に取り組んできました。第二次世界大戦で20万人もの住民が犠牲になったことや、アメリカの施政権の下でインフラ整備が遅れたことなどから、10年ごとに沖縄振興計画を策定し、第4次までに合計10.2兆円もの資金を投下してきたのです。さらに平成24年度から新たな沖縄振興政策として年間約3000億円ずつ拠出されています。これらが最終的に沖縄の人たちの生活の向上に使われていたら良いのですが……」

厳しい経済状況の原因はどこに

西野氏が懸念する通り、沖縄県の実態は非常に厳しい。

「沖縄県の生活保護率は2.4%と全国で5番目に高い。しかも65歳以上の高齢者の受給率が4.93%と突出しています。米軍統治下で年金制度の加入が遅れたことによる無年金者が存在すること、そして県民所得が低いことなどが原因なのです」

1人当たり県民所得については沖縄県は201万8000円で全国最下位だ。全国平均(291万5000円)の69%にすぎない上、全国最高位の東京都(437万3000円)と比較すればわずか48%と、半分にも満たない。

さらに必要最低限の生活を維持する収入のない人の割合を『絶対的貧困率』といい、就業世帯のうち最低水準以下の所得しかない世帯の割合を『ワーキングプア率』というが、山形大学の戸室健作准教授の調査によると、沖縄県はそれぞれ29.3%と20.5%でワーストワンという結果になっている。

「昔なら、働けなくなった老人を若者が助けながら生活したでしょう。しかし今は、それをしたくてもできないというのが現実なのです」

失業率も離婚率も沖縄はワーストワンだ。西野氏は述べる。

「離婚の最大の理由は経済事情です。そしてそれは子どもの教育にも影響しており、高校進学率も大学進学率も全国最下位です。とくに大学進学率は36.9%と、全国の54.3%を大きく下回っています。問題はこうしたことが貧困の悪循環になりえてしまうことです」

もし沖縄復興資金が十分に有効に使われたなら、こうした問題は緩和されたのではないかと西野氏は述べる。大学が新設されれば、進学の機会が増大する。また無年金問題についても解決できるだろう。そもそも沖縄が復帰した当時、政府は年金未納期間の追加支払いだけを認めていたことが問題の原因だ。この時に経済的理由で追加支払いができなかった人たちが放置された。その結果、現在3万人が高齢者の無年金者になっている。

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