ミラー氏、「TPP交渉から日本を外すべき」

中間選挙で民主党完敗、TPP交渉の行方

――今年4月、オバマ大統領が訪日した際、安倍首相に大胆な譲歩をするよう圧力をかけた。TPAなしでどういう腹積もりだったのか。

あとから考えると、圧力をかけるべきではなかった。私の考えでは、米政府は日本がTPP交渉に熱意があると踏んでいた。安倍首相は多くの市場改革の陣頭指揮をとっている強力な指導者とみなし、とくに通商交渉での指導力について、その強さの程度を試そうとした。ところが、うまくいかなかった。それはTPP交渉の行き詰まりと軌を一にしている。

――オバマ政権はTPP交渉の前進を強く望んでおり最終的に農業問題を除外するのではないかという観測が日本の一部にある。

それは米政府の政策をミスリードした見方だ。米国が農業市場の参入を重要視していないと考えるのは誤りだ。とくに米上院の通商政策は農業の市場参入を重視している。

私なら日本を外す

――その点を日本に対してどう説得するのか。

私がオバマ政権の交渉担当者なら、日本を外してTPP参加11カ国で交渉を進める。それを突破口にして、日本には将来のある時点で参加を呼びかける。そのやり方はワシントンでは歓迎されるだろう。それはTPP協定をかなり簡略化することになる。また、米議会で問題になっている諸外国の通貨操作への対応策や米自動車業界の苦痛解消策など、TPP方式の障害物を取り除くことにもなる。

「TPPがめざす要件を、日本は残念ながらまだ満たせない」と発表することによって、11カ国で協定を結ぶことにする。そして日本との話し合いを継続していく。このようなことが現実に起こるかどうか分からないが、膠着状態が続くよりはましであり、政治的に魅力のあるアプローチだと思う。

――米政府はそういう日本外しを本当にするだろうか。

米政府が日本外しをするかどうかは、見物だ。私はオバマ大統領がそうしたことを進めることを期待している。一般的に通商政策、とくにTPPはマックス・ボーカス議員が上院を去り、駐中国大使になってから重要な政策課題ではなくなった。ボーカス氏は有力な超党派の市場開放促進論者だった。

通商政策が有効に働くには、その政策が議会で最先端かつ中心的な議題でなければならない。それはかなりむずかしい。オバマ大統領はまず議会与党である共和党と、それについて取り組まなければならない。しかし、それにはどの大統領もあまり積極的ではない。ホワイトハウスは議会と連携しなければならないが、オバマ大統領はそれを苦手としている。オバマ政権第1期の2年間に与党が多数派だった時でさえも議会との折り合いはよくなかった。

――11月4日の中間選挙以後、議会の次の2年間が始まる。そこでTPPは大統領の優先政策としてリストアップされるかどうか。過去6年間、さほど重視されなかった通商政策に、これから注力するだろうか。

答えはイエスだ。これからワシントンでは通商政策に一段と注力するようになる。その時、TPPを日本抜きの11カ国で進めるかどうか決めなければならない。問題はそこから始まる。

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