ホンダが「新HV」を発売も、まだまだ遠いプリウスの背中
1台159万円なり──。ホンダが10月8日に投入した小型車「フィット」のハイブリッド(HV)版。その価格に業界は戦々恐々としている。
フィットは2001年6月の発売以来、世界で累計351万台の販売実績を誇る、ホンダの戦略車だ。国内でも02年にトヨタ自動車「カローラ」から国内販売台数トップを奪ってから、つねに3位内をキープする。その人気車のHV版が出るのだから、業界から注目されて当然だろう。
1年半前の09年初め、HV競争の“ど真ん中”にホンダはいた。2月にハイブリッド専用車「インサイト」を、最低価格189万円と衝撃的な価格で投入。燃費こそ1リットル当たり30キロメートルと、トヨタ「プリウス」の同36キロメートルに劣るが、安さの魅力は大きく、すぐさま国内首位に躍り出た。
が、続く5月に新型プリウスが同205万円で発売されると、たちまち失速。09年度の世界販売台数はプリウスが40万台にも及んだ反面、インサイトは13万台に終わった。激戦の米国市場でも2万台と、プリウスの14万台に完敗した。
ホンダ幹部によれば、米国での敗因は「米国のユーザーには車体が小さすぎたこと」。ただフィットはそのインサイトより、全長がさらに50センチメートルも短い。これではプリウスを撃破するには心もとない。
「燃費変わらず」の成否
同じホンダ車として、フィットはインサイトと同じHVシステム「IMA」を搭載している。だがノーズ部分が尖ったデザインのインサイトに比べ、短く丸みを帯びた形状のフィットは空気抵抗が大きい。単にIMAを載せただけでは燃費が落ちる。開発陣は、タイヤ選定や車体底面設計で全体の走行抵抗を徹底的に削り、何とか燃費30キロメートルを実現した。
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