楽天グループも導入、復活するビットコイン 取引所破綻から半年、新たな「基軸通貨」になるのか?

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ビットコインを含めた仮想通貨は、セキュリティ、実用性など多くの問題点を抱えており、解決しなければならないことは山積みだ。しかし、その将来性は非常に大きい。それは、その革新的な発想という点だけではなく、時代背景もある。

米ドルなど既存の通貨と「共存」が当たり前に?

そもそも通貨は国家の信用が基盤であり、その国家の経済的強さや軍事力が通貨の価値を担保している。一方、中央支配機関がないビットコインの信用は、ネットワーク参加者全体で相互に形成されている。価値下落を防ぐ努力をするような中央組織は存在しないというリスクがある一方で、使用者の意図に反して価値をコントロールすることもできない。

ビットコインが生まれた2009年は、アメリカを発端にした世界金融危機直後であり、それから今日にかけて、ギリシャ危機、キプロスの銀行破綻を含むヨーロッパ財政危機、アメリカの財政の壁などの国家の信頼が揺らぐようなイベントがいくつもあった。またアメリカを中心とした先進国は、量的緩和によって、通貨の供給量を増やすことにより、通貨の相対的な価値を下げ続けるような施策を取った。

ヨーロッパの危機はまだ完全に去ったものではなく、中国の「潜在的金融リスク」、さらには日本の「財政破綻リスク」など、金融の専門家からみれば、国家の信用を揺るがすようなイベントの発生は、可能性としては十分にある。途上国ではその危険性が恒常的に存在し、アルゼンチンのように財政破綻を複数回経験するような国が出てくることもあるかもしれない。

筆者は国家(特に先進国)の信用が、近い将来、地に墜ちるような可能性は低いとみているが、相対的には国家の信用が低下すると考えている。こうした環境下で、仮想通貨が通貨の代替になるのではなく、米ドルと並ぶような「新たな基軸通貨」になりえるとみている。

通貨と「競合」するのではなく、「共存」することによって現在の金融システム全体に新たな「厚み」をもたらしてくれるということだ。決済・送金への応用、投機・投資・ヘッジ対象、技術の応用など、その「範囲」は広い。そして、われわれはちょうどその転換期にいる。

したがって、ビットコインを含めた仮想通貨の動きには、しっかりとアンテナを立てておきたい。米ドルを語るのと同じように、ビットコインや仮想通貨を語る日がいずれ来るかもしれないのだから。

林 良太 金融ベンチャー Finatext CEO

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はやし りょうた

金融テクノロジーのベンチャー、Finatext CEO兼共同創業者。東京大学経済学部卒業後、英ブリストル大学のComputer Scienceを経て、日本人初の現地新卒でドイツ銀行ロンドンに2009年入社。ヨーロッパ全域での株式機関投資家営業などに従事し、2013年より国内最大規模級のヘッジファンド大手のGCI(代表:山内英貴氏)に参画。東京にて同社のグローバルビジネスを急拡大させた後、GCIのバックアップを受け、2013年Finatextを創業、現職に。
 

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