一〇〇年前の女の子 船曳由美著
知らないのに、なぜか懐かしい。100年前の農村の四季。
この8月、主人公の寺崎テイは101歳になった。手厚い看護を受けて暮している。「貧乏神がはりついていた」にもかかわらず、子ども5人は全員大卒に。そして米寿を過ぎたころから、「けなげに生きた」少女の成長物語を語り出す。
カミナリの落ちた日に、栃木県足利郡筑波村大字高松にて生まれた。実の母を知らず、養女に出される。
正月にはお正月様をお迎えし、雛の節句には哀しい思い出もある。柿若葉のころ、村は忙しくなる。十五夜には月に拍手を打つ。秋が深まり、コウシン様の夜がくる。冬は街道からやってくる。神を畏れ仏を敬う心に満ちた暮らし。
本人は全甲の成績を通し、女学校を受験する村の数少ない子どもに。
主に明治・大正期の少女の成長の日々が、娘の手で鮮やかに描かれる。貧しくも命高らかに生きた人々の物語が胸を打つ。
講談社 1680円
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