嫌われ者のインフレを｢金鉱｣に変える人たち インフレトレードにかけるウォール街のトレーダー

インフレは世界の大半の人から嫌われているが､ニキル･チョラリア氏と少人数のトレーダーにとっては好機だ。

ゴールドマン･サックス･グループのパートナーであるチョラリア氏（38）はインフレトレードを手掛ける人物としてトップクラスだ。この分野はニッチながら一部の主要金融機関･ヘッジファンドの間で急成長しており､収益性が非常に高い。

インフレトレードはインフレ動向から利益を得る仕組みで複雑な場合が多いが､チョラリア氏はこうした取引を本拠地のロンドンから指揮する。世界経済を揺さぶり各国･地域の中央銀行の不意を突くことさえあった数十年来のインフレ率に支えられ､同氏らの取引はこの1年間､大きな成果を上げた。同行の事情に詳しい関係者によると､2021年の収入は4億5000万ドル（約516億円）と､それ以前の数年間の2倍に達した。 

エネルギー高とサプライチェーン問題であらゆるコストが上昇Photographer: George Frey/Bloomberg

事情に詳しい関係者によれば､モルガン･チェースではノンリニア･レート世界責任者ギル･ホームズ氏が昨年､インフレトレードで約3億ドルの収入創出に寄与し､バークレイズやモルガン･スタンレーのトレーダーもこの分野で稼いだ。バリ･アナリティクスのデータによると､ウォール街の主要銀行全体では21年に約23億ドルと､19年の2倍余りに達した。他の債券取引が低迷する中で歓迎される傾向だ。