トランプ支持の陰謀論者になった47歳女性の衝撃 彼女にとって元大統領は悪魔崇拝者と闘う英雄
Qアノンとはいったいどんな活動をするのかと訊くと、スパルディングはこう話してくれた。
「Qアノンって、何か答えを提示するところではないのよ。“プレイング・メディック”という主宰者が、いろいろな質問を発するの。たとえば、ビル・クリントンとアル・ゴアの名前が入った南部の連邦旗に1992年の文字が入った写真を提示して、これを調べよ、とか、ジョン・F・ケネディの息子(1999年に飛行機事故で死亡)が、まだ生きていると思うか、っていうお題もあったわね。ほかには? ナンシー・ペロシ(カリフォルニア州 民主党下院議長)が、なぜ新型コロナが発生する直前に、中国の武漢市を訪問したかについて深く調べよ、とかね。それぞれがネット上で情報を探して、それぞれの正解にたどり着くの。信者に向けた掲示板には、こうした投稿がこれまでに5000回近くあったわ」
お笑い番組によくある大喜利のお題みたいだな、とも思えるが、陰謀論であることに変わりはない。
スパルディングが「オバマケア」に覚えた違和感
しかし、スパルディングは反論する。
「陰謀論ではないのよ。主宰者は、写真や記事を提示して、こうした課題を自分で深く調べよって指示するだけなんだから。それぞれの個人が、主宰者とネット上でつながっているだけで、Qアノンとしての集会があるわけでは、ないわね」
3人の息子を持つ母親であるスパルディングは専業主婦であり、子育てに加え、PTA活動や、生活困窮者のために食糧を配給するフードバンクでのボランティア活動などをこなす。
以前は、アメリカの報道で中道といわれる米公共ラジオ局(NPR)のニュースを熱心に聞き、2008年の大統領選挙ではオバマに投票したスパルディングが、「何かがおかしい」と感じ始めたのは、“オバマケア(医療保険制度改革法)”が成立した後で、家族の健康保険料が月額400ドルから2700ドルに跳ね上がった時のことだ。
オバマケアができると、無保険者の数が減り、すでに保険を持っている人の負担も減ると思い込んでいただけに、保険料が7倍近くに跳ね上がったことに驚いた。
それからスパルディングの“正解”を探す旅が始まる。
まず、NPRを聞くのをやめた。その頃、再婚した夫が勧めるQアノンに足を踏み入れるようになる。Qアノンの入門書を読み、ネット上の同志に勧められて移民排斥を訴える映画も観た。そうして、徐々にQアノンにはまっていった。
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