学習塾依存の受験生が独学派に「勝てない」理由 漫然と受けるだけの「受講地獄」は非常に危険だ
映像型の塾では「受講地獄」に注意
これは映像型の塾に通う生徒に多いことですが、授業を受けること自体に依存してしまう人がいます。繰り返し言いますが、基本的には参考書学習が最も効率的です。映像授業は参考書学習では補えない部分にプラスして使ってほしいのであって、すべてを映像で進めてほしいわけではないのです。
しかし、映像型の塾に行くと、基本的には映像で完結するよう誘導されてしまいます。受験業界用語で言う「受講地獄」というものです。大量の授業を受講して、とにかく毎日2本、3本と映像を見続けることが強要されます。本来なら途中で復習や問題演習が必要なのですが、復習する時間もなく次の講座が入ってくるので、どんどん受講せざるをえなくなるのです。受験が終わって冷静に振り返ると、「あの講座は受講する必要はなかったな」と後悔するケースが次々に起きています。
映像授業には卓抜な指導力をもつ講師が多いので、見ている間は気持ちよく進められるし、わかった気にもなります。しかし、受講ばかり続いて、暗記をしたり問題を解いたりして自分で手を動かす時間はとれないので、結局のところ成績は上がりません。そして、塾側は成績が上がらないならもっと受講しようと提案してくるので、さらに受講を繰り返すことになってしまうという負のスパイラルに陥るわけです。成績が上がらないときにこそ参考書・問題集を使い、授業で学んだことを自分でしっかり身につける・定着させることが本来やるべきことなのに、「成績が上がらないから受講する」という悪い学習サイクルに陥ってしまうと、お金が出ていくばかりで、成績はまったく上がりません。
以前、大手映像系予備校の生徒の成績を見る機会があったのですが、共通テストレベルの成績を4月、8月、12月の8カ月間追ってみると、確実に成績が伸びている生徒は2~3割程度で、約半数は多少伸びているものの、「もっと効率的にできたのでは」と思わせる結果でした(なお、残り2~3割の生徒の成績は、何も変わっていませんでした)。
私がいままで指導してきた生徒の場合、自分で独学中心の勉強をすれば4カ月程度で際立った成果が出ています(8カ月なら言うまでもありません)。むしろ、4カ月で成績が伸びていない生徒のほうが珍しくて、控えめに計算しても、多くの生徒は共通テストレベルの問題で平均して約20%前後伸びています。もちろん、在籍生徒の学力の違いもあるかもしれませんが、得点アップを果たしているのは私の塾が特別だからではなく、きちんとやるべきことをやっていれば一定の成績には到達できるからです。私の知り合いの塾でも、この程度の成績向上を達成しているところは少なくありません。
私自身も、高校生のころには東進ハイスクールに通っていて、映像授業の恩恵を最大限受けて東大に合格しました。だから、映像授業自体には非常にポジティブなのですが、いざ指導者側に回ってみると、自分で管理できない生徒のほうが多数であるという実態に気づきました。映像授業に依存してはならない、受験勉強の中心はあくまでも自分である、というところは、繰り返し伝えていきたいことですね。
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