地方に残る「自称進学校」はムダ学習の温床だ 志望校に必要ない学習を強制する洗脳的教育

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課題が延々と出たり、課外や補講が大量にあったり、また教師が志望校を勝手に決めたりする……もしそういう兆候が見られる学校にあなたが通っているのなら、くれぐれも学校の雰囲気に飲み込まれないよう気をつけてください。

「学校は絶対」という根強い思想

もちろん、そういう学校の生徒の約半数は、「どうして朝から行かなければならないの?」「この宿題、意味なくない?」と気づいているのです。実際、私たちがYouTubeで発信すると、生徒からの共感や現場からの悲痛なさけびがたくさん寄せられます。

ただ、全員が本当に学校の取り組みを嫌がっていたとしたら、そんな学校は人気がなくなるはずです。しかし、自称進学校が依然としてなくならないのは、多くの保護者が「学校ですべて指導してもらうのがいちばん。足りない場合だけ塾に行く」という思想にとらわれているからです。

関東では、学校はそこまで細かく見てもらえる場所ではないという前提に立って、そもそも塾・予備校は必要だと考える保護者が多いのですが、塾・予備校が少ないからなのか、自称進学校が強い地域では、地域全体にそういった思想が蔓延しているようなのです。教師も、「学校で指導しなくては!」という変な責任感に燃え、本当はやりたくなくても伝統だから仕方ないと割り切っている雰囲気が感じられます。

また、自称進学校の生徒には依存心が強い人が多いことも、「自称進文化」が一定の支持を受けていることと関係があります。

本当に上位層の、偏差値70を超えるような受験生というのは、なんでも効率的にやろうとします。よく誤解されるのですが、じつは上位進学校生の多くは、勉強自体はべつに好きではなかったりします。私の開成時代の同級生たちは、受験勉強をゲーム感覚でとらえていました。彼らは、「こういうふうにやったほうがいい」と思ったら、教師が何と言おうと自分の道を突き進みます(逆に、自分の成績が平均を下回るようになると、「勉強なんてどうでもいいや」と思い始め、何もやらなくなってしまうのですが)。

一方、高校偏差値60~65ぐらいの、まさに自称進学校のボリュームゾーンに該当する高校に通う生徒の多くは、出された課題は真面目にやりますし、補講があるから来いと言われたらそのとおりに出席します。その結果、命令どおりに動く軍隊のような体制ができ上がるのです。ストイックな環境を唯々諾々(いいだくだく)と受け入れるという生徒や保護者のメンタリティも、自称進学校がしぶとく生き残る環境を温存している要因の1つだと思います。

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