こうした状況下、昨年オフには、独立リーグ、球団主催の「トライアウト」が全国で数多く行われた。
注目すべきは「合同トライアウト」が多かったことだ。日本海オセアンリーグは4球団の合同トライアウトを行ったが、新球団、福岡北九州フェニックスは単独でのトライアウトのほか、堀江氏が経営に参画していたBCリーグ武蔵ヒートベアーズとの合同トライアウトを行った。
また九州の火の国サラマンダーズ、関西独立リーグの堺シュライクス、BCリーグの茨城アストロプラネッツは、3球団で九州、関東、関西で3回合同トライアウトを行った。ほかの球団も積極的にトライアウトを実施したから、今オフは有望選手をめぐって独立球団の「人材争奪戦」の様相を呈した。
筆者はそのうちいくつかのトライアウトを取材した。
福岡北九州フェニックスの河西智之代表は、「地元福岡ソフトバンクホークスとの交流戦や人材交流に期待したい」と語った。
火の国、堺、茨城の合同トライアウトでは3人の経営者が顔を合わせた、火の国サラマンダーズの神田康範代表は「うちは前年から契約を継続する選手が多いので、獲得するのは若干名です。それよりも各地の独立リーグの現状を知ることの意義が大きい」と語った。
堺シュライクスの夏凪一仁代表は「こういう形で3球団でトライアウトをすると、より多くの有望選手を見ることができる。また他の球団の経営者や指導者と意見交換できることも意義がある」という。
世界の野球事情に精通した野球指導者の存在
とりわけ面白い動きをしているのが、茨城アストロプラネッツだ。昨年年、世界の野球事情に精通した野球指導者の色川冬馬氏をGMに招いた。
色川GMは、バルガス、アルバレスの2外国人選手を獲得したが、バルガスは7月の東京五輪ではメキシコ代表に選出された。茨城に復帰後、オリックスに入団し、日本シリーズでも投げている。アルバレスも7月にソフトバンクに入団した。
さらに今年1月17日には所属する投手の松田康甫が、MLBのロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約をしたことが発表された。
山根将大代表は「色川GMは、日本人選手にも的確なアドバイスができる。独立リーグでは勝つことももちろん大事だが、それ以上に人材を育成し、輩出することのほうが重要だ。NPBだけでなくいろんな世界に人材を送り出したい」と語った。
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