野球「独立リーグ」に経営者が続々と挑む背景事情 全国に30の球団、「淘汰の時代」に入りつつある

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一方でルートインBCリーグに所属していた滋賀、福井、石川、富山の4球団は、BCリーグから独立し、新たに日本海オセアンリーグを創設した。このリーグの運営を担うのは神奈川県を本拠地とする企業集団のオセアングループ。グループトップの黒田翔一氏がリーグの代表に就任した。選手の給与水準のアップや週末に集中した試合開催、リーグ製作の試合動画配信などさまざまな改革を行っていく。

4月2日には、滋賀県彦根市に4球団が集結して開幕戦を行う。

こうした新たな独立リーグの動きには、いくつかの共通点がある。1つは、新しい経営者がほかの業界から参入していること。スポーツビジネス、ITやインフラなどの業界で経験を積んだ若手経営者が、既存のビジネスモデルにこだわらず、新しい「独立リーグの形」を模索している。

決め手となっているのはDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。仮想通貨も含めたクラウドファンディング、動画配信、ネットによるファンクラブの構築、チケッティング、ECサイトまで、IT技術を駆使して独立リーグの情報化を推進している。

「人材輩出の重視」するようになったワケ

もう1つは「人材輩出の重視」だ。これまでの独立リーグは「地域密着」を大事にする傾向が強かった。地元に貢献することで小口スポンサーを数多く集め、球団を維持する活動はどの球団もやってきた。近年は、それと並行して優秀な選手を集めNPBに送り出すことを重要視する球団が増えてきた。

独立リーグ球団はNPBに選手を輩出すると育成費の名目で選手の契約金、年俸の何割かを受け取る。それは球団の収入として小さくはないが、一過性の収入のうえに、育成指名の場合、金額はそれほど大きくない。

しかし、独立リーグから選手がプロ野球に行くと、たとえ育成でも地元メディアは大挙して押し寄せる。ドラフト指名日、入団契約の締結日、自主トレ始動、春季キャンプインなど節目の度にメディアは入団した選手の動静を伝える。これが独立リーグ球団にとっては、小さくないメリットになっている。

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