休園直前にパンダ3時間待ち、上野コロナ禍の苦悩 双子パンダはすいすい木登りするようになった
例えば、12月11日午前11時~11時30分に3人まで入場できる整理券は2980円、12月5日午前11時~11時30分に4人まで入場できる整理券は3500円で出品され、買い手がついていた。これらは整理券のみで、入場券は別に購入が必要だ。
整理券の転売は、上野動物園が禁止している行為で、「発覚した場合には入園をお断りします」と公式サイトに記されている。
筆者が2021年12月8日、メルカリでの転売について上野動物園に尋ねたところ、「出品は把握していて、削除依頼を出しています」(同)とのことだった。
整理券制と抽選制を併用
双子のシャオシャオ、レイレイと母シンシン(真真)の母子3頭を公開する2022年1月12日以降の整理券は、獲得がさらに難しくなった。整理券を得ても、母子3頭は観覧できない。にもかかわらず、なぜ取りづらいかというと、入場枠が減ったためだ。
1日の入場者数の上限は、コロナ対策で6500人のまま。一方で、母子3頭の観覧抽選の当選者(1日最大1080人)を入場させるため、その分、一般の入場枠が減ったのだ。特に「9時30分~10時」「10時~10時30分」「10時30分~11時」の時間帯は、それぞれ360人ほどの当選者を入れるので、一般の入場枠が大幅に減った。
この時間帯の整理券は、双子の公開前から人気が高かった。早く入場すれば、シャンシャンの再観覧列に並ぶ人が少なくて、短い待ち時間で観覧・撮影できることなどが理由だ。ほかの動物も混雑を避けて観覧できる可能性が高い。つまり、当選すれば双子パンダを観覧できるうえ、早い時間に入場する権利も自動的についてくる仕組みだ。
結局、上野動物園の休園に伴い、母子3頭の公開は休止になった(参照:『「休園」でも双子パンダ「3日間だけ公開」の舞台裏』)。再開園時も同じ仕組みなら、整理券は引き続き争奪戦になりそうだ。当選者と落選者のメリットの差は大きい。
ただ、世界屈指の人気を誇るパンダ5頭を飼育しながら、完全予約の整理券制と抽選制を併用し、園内の人数制限を迫られるという難しい状況にある。コロナ禍で、上野動物園としては苦肉の策とみられる。また、動物園がパンダを飼育して公開するのは、絶滅が危ぶまれるパンダの現状や保護への取り組みを伝えるなど、教育普及の目的もある。公開制限や休園は、動物園にとっても残念なことだろう。
東京都の1日当たりのコロナ新規感染者数は2月10日に1万8891人となり、「まん延防止等重点措置」の適用は3月6日まで延長された。上野動物園の再開園の時期は未定だ。これまで、動物園も観覧者もコロナ禍に振り回されてきた。コロナ禍とそれによる休園は、今回が最後になることを願いたい。
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