休園直前にパンダ3時間待ち、上野コロナ禍の苦悩 双子パンダはすいすい木登りするようになった

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休園期間は「当面の間」となっている。コロナ禍による過去の休園は長期に及んだ。そのため「今回もパンダにしばらく会えなくなるかも……」と覚悟して、休園前に出向いた人が多かったようだ。

コロナ禍による過去の休園期間は、1回目が2020年2月29日~6月22日で115日間、2回目が2020年12月26日~2021年6月3日で160日間。合わせると、約9カ月間に及ぶ。上野動物園の目と鼻の先にある東京都美術館などが開館しても、休園したままだった(参照:『シャンシャン「数十秒接見に殺到」上野動物園の今』)。ようやく2021年6月4日に再開園したものの、シャンシャンの撮影はしばらく禁止された。

都内のコロナ新規感染者が1日当たり20人ほどに減った2021年10月下旬、撮影禁止の理由を上野動物園に尋ねた。

すると、「コロナが完全になければいいのですが、いつリバウンドするかわからないなか、あえて混雑する状況をつくるのは避けたい。撮影となると、どうしても立ち止まってしまい、列が延びます。すると、撮影できなくても見られればいいという人まで巻き添えにします。なるべく皆さんに負担のないようにしたい」(上野動物園教育普及課)とのことだった。

実際、撮影に夢中になって長い間立ち止まり、列の流れを止める人は、筆者も以前目にしていた。シャンシャンの撮影が解禁されたのは2021年11月20日。入園後1回目の観覧時は前列で観覧できるが撮影できない。撮影したければ再観覧列に並んで、後列から観覧・撮影する必要がある。

再観覧列の待ち時間は、シャンシャンが起きていると長く、寝ると短くなる傾向にある。随所に配置された警備員は、無線で「寝ました」などと連絡し合い、行列の進み具合も考慮しながら待ち時間を予想して掲示している。

ちなみに筆者は世界中のパンダを見てきたが、これほど長い行列ができるパンダも、撮影禁止のパンダも、上野動物園以外で見たことがない。

無料の整理券を3500円で販売

シャンシャンの撮影解禁は2020年12月25日以来、約11カ月ぶりということもあり、今度は入場のための整理券(無料)の争奪戦が激しくなった。

「シャンシャンを撮影できるなら行こう」という人が増えたのだろう。

上野動物園は、コロナ禍での混雑緩和や動物の安全のために、完全予約制の整理券で入場者数を制限している。1日の上限は、2021年6月4日~10月8日が2000人、10月9日以降が6500人だ。

土曜・日曜・祝日の整理券はとくに人気で、予約開始日の午前中に全時間帯の整理券がなくなることが多かった。あまりの人気に、フリマアプリ「メルカリ」で整理券を売る人も出現した。

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