アジア太平洋地域のソブリン格付けは「安定的」から「ポジティブ」へ《ムーディーズの業界分析》

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 しかし、グローバルな景気の二番底から最も大きな影響を受けるのは、日本とベトナムである。日本の成長率は外需の影響を非常に受けやすい。この点は、09年に実質GDPが5.2%減少し、地域で最も深刻なマイナス成長に陥ったことに表れている。グローバルな貿易ショックが再度発生し、その影響で政府歳入が減少すれば、政府の調達能力が過度に圧迫され、負担可能な低金利での調達が赤字を埋めるためにできなくなるだろう。

ベトナムも国際収支が過去2年間の景気循環で受けた打撃から回復し始めたばかりであるため、大きな影響を受ける可能性がある。世界景気が二番底に陥れば、ベトナムの対外収支は大幅に悪化するだろう。

中国と先進国に歩調を合わせ、地域の経済成長は減速へ

世界経済成長の二番底シナリオは回避される可能性が高いが、中国と先進国の財政刺激策や金融緩和の打ち切りと、それに続く世界経済の成長の不確実性が、向こう1年の地域の景気回復の勢いを弱めるだろう。

国内政治や地政学上の懸念は信用ファンダメンタルズを毀損せず

信用ファンダメンタルズは、タイの国内政治の混乱や、韓国の地政学的緊張の高まりから、ほとんど影響を受けていない。

景気と格付け見通しへのリスクは対処可能

アジア太平洋地域の格付けは、世界の金融市場で繰り返される混乱に対し、底堅さを維持する可能性が高い。資本流入の不安定化に対する懸念は今のところ和らいでいる。しかし、一部の国は、実現性は低いと思われるが中国の成長率の低下や、一段と深刻な世界的景気後退というリスクからの影響を受ける可能性がある。資産バブルや物価変動(インフレあるいはデフレ)がもたらす脅威が、システミックリスクにつながることはない、とみられる。しかし、日本の債務デフレの問題が、潜在的な信用リスクとなっている。

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