香港のデモ長期化、「一国二制度」の正念場 試される中国指導部の度量

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しかし、海外メディアも多く、開かれた都市である香港で暴力的な鎮圧を行えば、金融センターとしての香港の評価を大きく下げかねない。また、9月の世論調査では中国政府を「信頼できない」とする香港市民の比率が過去最高の52%に達した。

ここで強行策に出ることは、香港市民と中国政府の溝を決定的なものにするおそれもある。中国が香港と同じ「一国二制度」での統一を呼びかけている台湾との関係にも大きな影響を与えてしまう。

梁長官には不正資金の疑惑も浮上

なお梁長官には、豪州企業から不正資金を受け取ったとの疑惑が浮上。今回のデモとは別の名目で退陣に追い込まれる可能性も出てきた。

香港経済に詳しいSMBC日興証券の肖敏捷シニアエコノミストは「香港の国際金融センターとしての機能は、ルール整備が遅れている上海では代替できない。人民元の国際化が進まない現状では香港ドルの存在も不可欠」と語る。

中国のほかの都市では実現できない環境が香港にあったからこそ、中国は「一国二制度」を認めてきた。香港の独自性を維持できるかどうかは、いっそうの市場経済化を目指す中国の未来にとっても重要だ。中国指導部の度量が試されている。

 (週刊東洋経済10月18日号(14日発売)「核心リポート03」を転載)

西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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