「怖い絵」で人間を読む 中野京子著

「怖い絵」で人間を読む 中野京子著

絵画の正しい鑑賞法は、予備知識なしで作品に向き合うことと教えられる。これでは、気に入った作風の絵ばかり見て飽きるのが関の山と、著者は考える。そこで、「怖さ」の視点から西洋名画33点を選び、その絵が生まれた“時代の目”によって、人間心理の奥底に眠る「恐怖」の側面を浮かび上がらせようとする。

たとえば巻頭のベラスケスによる、スペイン・ハプスブルク家の王子の一見かわいい肖像画。ろうのような白い手がいすの背に「くたっと置かれ」、「はかなげな、でも奇妙なほどに老成した、現世を離れた表情」の女児服姿は何を意味するのか。現代の目や感性を超えた読み解きが進められる。臨場感たっぷりの時代・人間探訪にもなっている。

NHK出版生活人新書 1155円

  

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