「もう服は一生買わなくても大丈夫」と気づいた日 「お金もち=おしゃれ」という方程式からの脱出

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そうなのだ、私に合うスタンダードとは結局のところ、前と同じようにこれからまた何十年もかけて服を買い集め、それを改めてフルイにかけるしかないんじゃないだろうか? つまりは良い服を選び抜くには長い「時間」が必要なんである。でもそんなこと、どう考えたって今からまた一からやるわけにもいかないし、やる気にもなれないし……。

ってことで、ボロボロになった精鋭たちを身につけ、「イナガキさんここ破れてますけど……」などと指摘されつつ、笑ってごまかし内心困ったなあ、いつまで持つかなあと思って生きていたのであります。

「時の流れに耐えた服」と出会う方法

ところが最近「これだ!」と思う出来事がありまして、この悩みを完全に脱却することに成功した気がするので、それを張り切ってご報告させていただく。

それは、ちょっとした思いつきから始まった。

ある日、例の私に服を貸してくれる友達と、それとは別のオシャレな友達と私の3人で雑談をしていて、お二人が「今じゃ着なくなったけど、すごく気に入っていてどうしても捨てられない服がたまって困るんだよねー」という話で盛り上がっていたので、じゃあ一緒にガレージセールやろうヨとトントン拍子に話がまとまって、私もわずかな「案外着ない服」と、廃品利用で作ったエプロンなど出品することにして、知り合いのカフェの一角で週末の3日間、そのとっておきの服たちを展示して500~2000円で売ることに。

で、そうと決まったら「私も売りたい!」という友達の友達も服や鞄を送ってくれたりして、賑やかな楽しい展示となった。とはいえそんなに客の多いカフェでもなく、さらにはわれら3人案外友達が少ないということが判明。

集めた客は3日間でそれぞれ数人程度というまったり営業となり、それでも置いていた服がかなりのオシャレっぷりだったのでそれなりにぽつぽつ売れて、久しぶりに会いに来てくれた人もあり、お客同士でお茶を飲みながら話が盛り上がったりもして、なかなかに楽しい時間であった。

それはさておき。実は私が本当に面白かったのはそこじゃなかったんである。

最初に運び込まれた服を見た私は、思わず「わー」「かわいい~」と叫んで、あれもこれもと次々と試着せずにはいられなかった。こんな感覚はまったくもって久しぶりである。厳選した精鋭服で暮らすようになってからというもの、どんな評判のおしゃれな店に行っても、このようなものは何一つ見つけることができなくなっていた。

なんというか、服に引力がないのだ。引き付けられない。手に取る気にもなれない。どんな流行りのブランドでもダメ。なのにこの「不要品」には大興奮。これは一体どうしたことか?

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